米野の戦い

米野の戦い

米野の戦いは、1600年8月22日に起こった、関ヶ原の戦いに先立つ重要な前哨戦です。この戦闘は、岐阜城の防衛を巡る戦いであり、徳川家康が指揮する東軍と、織田秀信が率いる西軍との間で繰り広げられました。

戦況の詳細

戦闘は、1600年8月21日、東軍が美濃国羽栗郡河田島村（現在の各務原市）に進軍したことから始まりました。池田輝政、浅野幸長、山内一豊の指揮のもと、東軍は約18,000人の兵力を持って岐阜城に向けて進軍し、木曽川を渡河しました。一方、西軍の織田秀信は、羽栗郡米野村（笠松町の現在地）に百々綱家や飯沼長資らを配置し、さらには周辺の村にも布陣を行い、合計で約9,000人の兵士を動員しました。

8月22日明け方、東軍は木曽川を渡り、西軍はその動きを阻止するために鉄砲隊を用いました。この状況は「河田木曽川渡河の戦い」として知られています。昼になると両軍は米野村で激突し、戦闘は激しさを増しました。しかし、西軍は3,000人程度しか実際に米野村に配置しておらず、数には大きな差がありました。結果として、8月22日の夕方に戦は終結し、飯沼長資が戦死、西軍は岐阜城へと後退することになりました。

現在の状況

米野の戦いの戦場跡は、米野村を中心に羽栗郡平島村（岐南町）一帯に広がっています。現在も岐阜バスの東米野バス停付近には戦場跡を示す碑が設置されており、米野の戦いの歴史的重要性を後世に伝えています。また、町営の米野墓地には慰霊碑が設けられており、戦死者である飯沼長資の墓も岐南町指定の文化財として保護されています。

池田輝政の軍勢が岐阜城へ向かう際、羽栗郡印食村にある八剣神社で小休止を行ったという伝説も残されています。そこで、彼が松の木に鎧を掛けて休息を取った場所が、今でも石垣としてその痕跡を残しています。このような歴史的遺産は、訪れる人々に当時の戦闘の激しさを思い起こさせるものです。

名称の由来と歴史的意義

米野の戦いと呼ばれるようになったのは、18世紀に宮川忍斎が記した「関原軍記大成」に起因しています。その中で「濃州米野合戦」と記述され、次第にこの名称が広まりました。しかし、当時の池田家の家臣が残した記録には、西軍が新加納に砦を築き、そこでの激闘が描写されています。このため、実際の合戦の地は米野ではなく新加納であった可能性が指摘されています。

このように、米野の戦いは関ヶ原の戦いの嚆矢として位置付けられ、戦国時代の歴史における重要なイベントの一つです。2023年の各務原市歴史民俗資料館の企画展や、2024年の岐阜関ケ原古戦場記念館の企画展では、それぞれの解釈に基づいた視点も提供されています。

この歴史的戦闘を振り返ることは、当時の人々の生き様や闘志を理解し、現在の我々が受け継ぐべき教訓を見出す重要な契機となります。

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