粒度 (プログラミング)

プログラミングにおける粒度とは

プログラミングにおける「粒度」とは、ソースコードを構成する要素（関数、オブジェクト、モジュールなど）が、プログラマーの意図や目的に対して、どの程度適切にまとまっているか、あるいは分離されているかを示す概念です。粒度が高い状態とは、それぞれの要素が特定の目的や機能に特化しており、他の要素との関連性が明確で、変更や再利用が容易であることを意味します。

粒度の概要

プログラミングでは、与えられた課題を解決するために、さまざまな機能や要素を組み合わせて利用します。この際、各要素が、ある特定の目的を達成するためだけに存在し、他の目的の機能を含まない場合、その要素は粒度が高いと言えます。反対に、一つの要素が複数の目的を達成しようとしたり、過度に細分化されていたりすると、粒度が低いと判断されます。また、機能が過剰に細分化されすぎると、全体として管理が困難になり、結果的に粒度が低い状態になることもあります。

粒度を高めるためには、以下の2つの原則が重要です。

凝集度を高める: 関連性の高い機能は一つの要素にまとめ、要素内の結びつきを強くします。
結合度を低める: 要素間の関連性を弱め、各要素が独立して機能するようにします。

データや機能が、その用途に対して過剰に分割されている場合、それは粒度が低い状態です。一方で、データや機能は、特定の目的を達成するための最小単位に分割し、かつ必要以上に分割しないことが、粒度を高める上で重要です。粒度は、一般的に機能の分割に対して使われる概念ですが、分割を行い単位を作るあらゆる事柄に適用できます。例えば、オブジェクト指向プログラミングにおけるクラスの分割も、粒度という観点から考慮できます。

粒度の対象

モジュール

モジュールは、関連する手続きを集めたもので、プログラムの構成要素を分割する単位として使用されます。モジュールが特定の目的を達成するための手順をまとめたものであれば、その粒度は高いと言えます。

具体例

以下に粒度の例を示します。ただし、粒度の判定は主観的な側面も持つため、これはあくまで一例です。

銀行のATMでの通帳残高照会: 利用者の目的は残高照会だけであるため、一つの手続きで残高照会だけを行う機能は、粒度が高いと言えます。
数学のsin, cos: 角度と長さを与えて座標を求めるという目的を、一つの関数で達成できるため、粒度が高いと言えます。
オブジェクト: オブジェクト指向プログラミングにおいて、オブジェクトは独立した単位です。オブジェクトの粒度は、そのオブジェクトが抽象的なものか、具体的な部品に近いかによって判断されます。
ファイルチューザー: ファイルを選ぶという利用者の目的を達成する上で、フォルダーを辿るという手段は必ずしも最適ではないものの、目的は満たせるため、粒度は低くないと言えます。

粒度に関連する概念

結合度: モジュール間の関連性の強さを示す尺度。結合度が低いほど、モジュールは独立性が高く、変更の影響範囲を小さく抑えられます。
凝集度: モジュール内の要素が、どの程度関連しているかを示す尺度。凝集度が高いほど、モジュールは単一の目的を達成することに特化しています。
* トレードオフ: 粒度を高くすると、モジュールや要素の数は増える傾向があり、管理の複雑さが増すことがあります。したがって、粒度を決定する際には、バランスを考慮する必要があります。

まとめ

粒度は、プログラムを開発、保守する上で重要な概念です。適切な粒度を意識することで、コードの可読性、再利用性、保守性を向上させることができます。機能やデータを、必要以上に分割したり、反対に過剰にまとめたりすることは避けるべきです。各要素の粒度を適切に保つことで、より良いソフトウェア開発が可能になります。

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