粟裕

粟裕の生涯と業績

幼少期と初期の経歴

粟裕（ぞく ゆう）は、1924年春、湖南省の常徳に引っ越し、湖南省立第二師範学校に入学しました。彼は中国共産党の指導する学生運動に没頭し、1926年11月に中国共産主義青年団に加入します。翌年5月には国民革命軍に入隊し、その後南昌起義に参加。ここで、遊撃戦の戦略への志向が生まれました。

彼はその後、広東地域を転戦し、紅軍内で様々な役割を果たしながら経験を積みました。特に、井岡山における戦闘での活躍が目立ち、1928年からは連長や営長、団長、さらには紅4軍や紅7軍団の参謀長としての地位を得ます。

日中戦争での戦闘

日中戦争が勃発すると、粟裕は1940年代初頭、新四軍の指揮官として日本軍に対して果敢に抵抗しました。彼は遊撃戦を駆使し、敵軍に対する複数の勝利を重ねました。特に、蘇北における抗日根拠地の確立は彼の戦略的視点を強く示しています。

また、車橋戦役を指揮し、敵軍の攻撃を撃退し、蘇南および浙東地域での抗日運動を強化しました。彼のリーダーシップのもと、新四軍は成功裏に敵の支配を打破し、民衆の支持を集めることができました。

国共内戦での重要な役割

日本が降伏した後、粟裕は国共内戦においてその軍事的才能を発揮しました。1945年には華中軍区の副司令官に任命され、その後、重要戦役を指揮しました。彼は国民党軍に対する内部からの攻撃を計画し、多くの戦役を成功に導いていきます。特に、淮海戦役では、華東野戦軍を指揮し、敵軍を壊滅させる重要な戦果を上げました。

彼の戦略は、国共内戦における中国共産党の勝利に大きく寄与し、戦局を有利に進める道筋を作りました。

建国後の政治的役割

1949年、中華人民共和国が成立した後、粟裕は人民解放軍の副総参謀長、次いで総参謀長として、軍の発展に携わります。1955年には大将の階級を授与され、その名がさらに知られるようになります。しかし、1958年に軍事委員会での批判を受け、一時閑職に追いやられました。

文化大革命時期には国務院の閣僚として任命され、国家の交通および通信インフラの整備に取り組みました。また、彼は政治的に重要な役割を持ちながら、1970年代から80年代にかけても影響力を持ち続けました。

業績と著作

粟裕はその軍事的才能だけでなく、知識人としても評価され、彼の著作は後世に影響を与えました。「対未来反侵略戦争初期作戦方法数個問題的探討」や「粟裕戦争回顧録」などの著書を通じて、彼の戦争に関する見解や経験を後代に受け継いでいます。

最後の歳月

彼は1984年2月5日、北京で亡くなるまで、様々な公職において影響力を持ち続けました。1994年には名誉回復がなされ、彼の功績が再評価されました。粟裕は、遊撃戦の理論だけでなく、実行力、リーダーシップ、政治力において中国の歴史に名を刻んだ人物です。

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