精神分析家

精神分析家とは、フロイトの精神分析理論を基盤とした精神療法を実践する専門家のことです。一般的には、フロイトの臨床技法を受け継ぐ機関で、綿密な訓練分析を含む高度な訓練を受けた者たちが精神分析家として活動しています。

国際精神分析協会の基準



国際精神分析協会(IPA)は、精神分析家になるための厳格な基準を設けています。IPAの日本支部である日本精神分析協会の基準を例に見てみましょう。まず、訓練コースに入るためには、医学部卒業や大学院修士課程修了に5年以上の臨床経験が必須です。さらに、協会認定の基礎セミナー修了、学会での発表実績、複数名の精神分析家による面接といった過程を経て、認定訓練分析家による1年間、週4回以上の審査分析を受ける必要があります。

訓練と資格認定



その後も、少なくとも2年間、週4回以上の頻度で、認定訓練分析家による訓練分析を受け続けます。同時に、認定スーパーバイザーの指導のもと、2例以上の精神分析療法を2年以上経験する必要があります。さらに、精神分析理論と技法に関するセミナー受講や、学会誌への論文掲載も求められます。

これらの研修を終えた後も、選考委員会による書類審査と面接審査を通過しなければ、精神分析家として認められません。審査では、訓練内容や研究業績に加え、精神分析症例発表に基づいた臨床論文も提出が求められます。すべての手続きをクリアした者だけが、IPAおよび日本精神分析協会の準会員として登録されます。

準会員となった後も、さらに2年以上の経験と研究業績が求められ、精神分析家としての高い能力と教育者としての資質が認められた者だけが、正会員および訓練分析家として登録されるのです。

ラカン派の考え方



一方、フランスの精神分析家ジャック・ラカンは、IPAのような権威主義的な資格認定に疑問を呈しました。ラカンは、「精神分析家は自身によってのみ精神分析家として認められる」と主張し、訓練分析ではなく「パス」と呼ばれる独自の資格認定方法を提唱しました。特にフランスや中南米では、ラカンの方法に基づいて活動する精神分析家が多く存在しています。

著名な精神分析家



精神分析の歴史において、数多くの著名な精神分析家が活躍しました。ジークムント・フロイト、メラニー・クライン、カール・ユング、アンナ・フロイトなど、その名前を聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。

ここに挙げたのは、国際精神分析協会系、ラカン派系、その他、日本出身の精神分析家を含めて、数多くの精神分析家の名前です。それぞれの精神分析家は、独自の理論や技法を開発し、精神医学や心理学の発展に大きく貢献しました。

フロイトを筆頭に、オーストリア、ドイツ、アメリカなど様々な国籍の精神分析家が紹介されています。日本においても、多くの精神分析家が活躍し、独自の精神分析の研究や実践を行ってきました。この分野は、現在も盛んに研究や議論が行われている、非常にダイナミックな分野です。

精神分析家の道は、長く険しい道のりであることは間違いありません。高度な専門知識と臨床経験、そして絶え間ない研鑽が求められる、まさに高度な専門職と言えるでしょう。

もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。