精錬証

精錬証とは：大日本武徳会における表彰の詳細

精錬証（せいれんしょう）は、明治時代に設立された大日本武徳会が、武術の優秀な人物に対して授与した表彰です。この表彰は、単なる名誉に留まらず、事実上の称号としての意味合いを持っていました。

精錬証の成立と初期の状況

1895年（明治28年）に大日本武徳会が設立され、同年には第1回の武徳祭大演武会が開催されました。この大会は全国から多くの武術家が集まり、その数は989名に及びました。大会では、特に優れた技能を持つ武術家に対して「精錬証」が授与されました。第1回では、剣術で15名、弓術で17名、柔術で6名、槍術で3名が選ばれています。

精錬証授与の基準と運用

精錬証は、1933年（昭和8年）まで武徳祭大演武会後、審査員の評議を経て総裁に推薦され、授与されていました。1914年（大正3年）には「精錬証授与例」が定められ、選出基準が明確化されました。大会で優れた試合を行った者は何度でも授与される可能性がありましたが、実際には一人につき一回までという不文律が存在し、二度授与された者はいなかったようです。

武徳会における精錬証の地位

1902年（明治35年）に「範士」と「教士」の称号が制定されるまで、精錬証は大日本武徳会における最高の表彰でした。範士・教士の制定後も、教士の下位という位置づけではあったものの、精錬証を持つ者は一人前の武道家として扱われました。

錬士制定と精錬証の廃止

精錬証を正式な称号とする意見が多かったことから、1934年（昭和9年）に「錬士」の称号が新たに制定され、精錬証は廃止されることとなりました。称号とは別に精錬証を残す案も検討されましたが、制度が複雑になることを避けるため、見送られました。

授与数について

(参考資料に記載されている場合、各回の授与数を追記します。)

第1回（1895年）
第2回（1896年）
第3回（1897年）
第4回（1899年）
第5回（1900年）

参考文献

村上晋編『大正武道家名鑑』、平安考古会
剣道家写真名鑑刊行会編『剣道家写真名鑑』
大日本武徳会本部雑誌部『武道範士教士錬士名鑑』
庄子宗光『剣道百年』、時事通信社
日本武道学会剣道専門分科会編『剣道を知る事典』、東京堂出版
『月刊剣道日本』1999年7月号、スキージャーナル
戸部新十郎『明治剣客伝 日本剣豪譚』、光文社

関連項目

剣道の段級位制
剣道殿堂
昭和の剣聖
警視庁の三郎三傑
五人の剣道十段
剣道家一覧

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