紅夢

紅夢（こうむ）

『紅夢』（原題：大紅灯篭高高掛）は、1991年に公開された中国映画です。チャン・イーモウ監督が、コン・リーを主演に迎え、1920年代の中国を舞台に、富豪の屋敷で繰り広げられる後妻たちの愛憎劇を描きました。

概要

本作は、作家スー・トンの小説『妻妾成群』を原作としています。撮影は、清朝時代の大邸宅である山西省の喬家大院で行われ、その壮麗な建築美が映画に深みを与えています。

1991年の第48回ヴェネツィア国際映画祭では銀獅子賞を受賞し、国際的な評価を確立しました。さらに、第64回アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされ、世界中の映画ファンを魅了しました。2024年にはHDレストア版が上映され、新たな世代にも本作の魅力が再認識されています。

あらすじ

物語は、1920年代の中国を舞台に、19歳の女学生である頌蓮（スンリェン）が、父親の死によって没落した実家を救うため、富豪である陳佐千（チェン・ズォチェン）の第四夫人として嫁ぐところから始まります。

陳家の屋敷に嫁いだ頌蓮は、王室のような手厚い歓迎を受け、心地よい足マッサージを施されます。夜には、主人がどの夫人の部屋で過ごすかを決める際、その部屋の前に赤い提灯が灯されるという習慣がありました。赤い提灯が灯された夫人は、足マッサージや食事の優先権を得て、使用人たちの尊敬と服従を受けることができました。しかし、頌蓮はすぐに、他の後妻たちも同様の待遇を受けていることに気づきます。

屋敷での生活が進むにつれ、頌蓮は第二夫人である卓雲（ヅォユン）からの裏切りや、第三夫人である梅珊（メイサン）が医者と不倫していたことによる凄惨な罰を目の当たりにします。主人の寵愛を巡る激しい争いの中で、頌蓮は次第に精神を病み、常軌を逸した行動を取るようになっていきます。

キャスト

頌蓮（スンリェン）〈第四夫人〉：鞏俐（コン・リー）
梅珊（メイサン）〈第三夫人〉：何賽飛（ホー・ツァイフェイ）
陳佐千（チェン・ズォチェン）〈主人〉：馬精武（マー・チンウー）
卓雲（ヅォユン）〈第二夫人〉：曹翠芬（ツァオ・ツイフェン）
陳百順（チェン・パイスン）〈菅家＝執事長〉：周琦（チョウ・チー）
雁兒（エンアル）〈頌蓮の召使い〉：孔琳（コン・リン）
大太太〈第一夫人〉：金淑媛（チン・スウユエン）
宋媽（ソン・マー）〈陳家の召使い〉：丁惟敏（ティン・ウェイミン ）
点燈人：曹増銀（ツァオ・ゾンイン）
高医師（カオ・イーション）：崔志剛（ツォエ・チーガン）
飛浦（フェイプー）〈第一夫人の息子〉：初暁（ツゥ・シャオ）
曹二嬸（ツァオ・アルセン）〈陳家の召使い〉：徐薇（シュー・ウェイ）

スタッフ

監督：張芸謀（チャン・イーモウ）
製作総指揮：侯孝賢（ホウ・シャオシェン）
製作：邱復生（チュウ・フウション）
原作：蘇童（スー・トン）『妻妾成群』
脚本：倪震（ニイ・ゼン）
音楽：趙季平（チャオ・チーピン）
撮影：趙非（チャオ・フェイ）
編集：杜媛（トー・ユァン）
美術：曹久平（ツァオ・チェウピン）

作品の魅力

『紅夢』は、封建的な家制度の中で生きる女性たちの悲劇を、鮮やかな色彩と美しい映像で描いています。コン・リーの迫真の演技をはじめ、豪華な衣装や美術、そして趙季平による印象的な音楽が、作品をより一層際立たせています。

この映画は、単なる愛憎劇にとどまらず、人間の欲望や嫉妬、そして抑圧された感情がもたらす狂気を深く掘り下げています。観る者に強い印象を残す、中国映画史に残る傑作として、今もなお多くの人々を魅了し続けています。

外部リンク

紅夢 - allcinema
紅夢 - KINENOTE
Raise the Red Lantern - オールムービー（英語）
* Da hong deng long gao gao gua - IMDb（英語）

もう一度検索