素野福次郎

素野 福次郎

素野福次郎（その ふくじろう、1912年8月27日 - 2004年4月12日）は、日本の実業家であり、著名な企業であるTDKの第3代代表取締役社長を務めました。兵庫県神戸市に生まれた彼は、1929年に育英商業学校を卒業し、家業である水道事業を引き継ぎましたが、経営がうまくいかず、約2年で廃業を余儀なくされました。

その後、1932年には神戸高等工業学校を中退し、鐘淵紡績に入社します。ここでは約6年間マーケティングの仕事に従事しましたが、同社が慶應閥であり、自身のキャリアの展望が制限されると考え、退社することになります。

1937年、彼は東京電気化学工業（現在のTDK）に入社し、当初は営業職に就いていました。この会社ではわずか4名の従業員がいたため、彼は急速にその中で存在感を発揮しました。太平洋戦争中には満州国のジャムス市で従軍し、戦後の1947年には東京電気化学工業の常務取締役に昇進しました。

1962年には東京電気工業の専務取締役に就任し、その後1969年からは取締役社長としての任務を担いました。彼は優れた人材を登用し、企業の発展を推進しました。特に、事業の拡大や人材育成に対する貢献が評価されています。また、彼はバラの愛好家としても知られ、その趣味がビジネスにも好影響を与えたと言われています。

素野は多くの栄典を受けており、1964年には紺綬褒章、1980年には藍綬褒章、1982年には毎日経済人賞と「財界」経営者賞を受賞しました。そして1986年には勲二等瑞宝章を授与されました。彼の業績は多くの人に認識され、尊敬されています。

また、素野は自身の見解や経験を基にした著書も残しており、1982年に『息学』、1984年に『人を育てる』、1986年には『企業は道場である : 私の履歴書』を発表しました。これらの著作は、彼の経営哲学や人材育成に対するアプローチを示す重要な資料となっています。

彼の人生は、日本の実業界における成功と挑戦の象徴であり、多くの後進に影響を与えてきました。素野福次郎はその功績をもって、経済界に深い足跡を残しました。2004年に94歳でこの世を去るまで、彼は常に新しい挑戦に取り組み続けた実業家でありました。

もう一度検索