紫外線写真

紫外線写真とは

紫外線写真（しがいせんしゃしん）とは、主に近紫外線を用いて撮影された写真のことを指します。この技術は、肉眼では捉えられない情報を可視化するため、古い傷や入れ墨を明らかにしたり、肉眼では不明瞭なルミネセンスを観察したりするのに利用されます。紫外線は肌に影響を与えることで知られており、日焼けの原因となる波長を持っていますが、その一方で、写真撮影の興味深い可能性も秘めています。

紫外線の種類

紫外線は一般的に以下の3つのカテゴリーに分けられます。
1. 近紫外線 (波長380～200nm; NUV)
2. 遠紫外線 (真空紫外線) (波長200～10 nm; FUV/VUV)
3. 極端紫外線 (波長1～31 nm; EUV/XUV)

紫外線写真撮影においては、主に近紫外線が対象にされます。というのも、大気は200nm以下の波長の紫外線への遮蔽効果が高く、使用されるレンズも180nm以下の波長に対して透過率が限られているからです。このため、実用的には近紫外線を活用します。紫外線撮影技術は、医学や工学、犯罪捜査、さらには映像芸術など多岐にわたる分野で広く利用されています。

撮影方法

紫外線の撮影は、通常、紫外線自体を直接撮影する方法と、紫外線によって生じる蛍光を捉える方法の二通りがあります。デジタルカメラを使用する際は、カメラ内部の光学素子が紫外線を通さない場合があるため、必要に応じて光学素子の交換が求められることもあります。

直接法

紫外線そのものを撮影する場合、撮影対象の紫外線の波長に応じてレンズを選択する必要があります。一般的なレンズは350～360nmの範囲を通過できるため、近紫外線の撮影は比較的容易です。ただし、180nmより短い波長を撮影する際は、石英ガラスやフッ素塩などで構成された特別な光学系が必要となります。加えて、可視光からの干渉を防ぐために、紫外線のみを通すフィルターをレンズに装着することが重要です。

間接法

蛍光を撮影する際は、紫外線に反応して発光する物質を捉えることで、より良好な画像を得ることができます。この方法では、紫外線を専用の光源から発生させた後、励起光を排除するためのフィルターを用います。室内や夜間の暗い環境で行われるため、撮影者は注意深く行動する必要があります。

紫外線光源

紫外線写真撮影で一般的に利用される光源には、直射日光やエレクトロニックフラッシュが含まれます。日光はその紫外線強度が大気の状態によって変動しますが、晴天時には高い強度を保つことができます。しかし、フラッシュ発光時には紫外線を抑える機構が多いがため、紫外線特化の装置（例：ブラックライトや高圧水銀灯など）を使用するのが理想です。

まとめ

紫外線写真は、目に見えない波長の光を利用することで、通常の撮影では捉えきれない情報を視覚化できる強力な手法です。これにより、さまざまな研究やアート表現に貢献しており、今後もその可能性が期待されます。

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