紫外線天文学

紫外線天文学とは

紫外線天文学は、天文学と天体物理学の一分野であり、紫外線波長で観測される天体を研究対象としています。紫外線は、波長が約10nmの極紫外線から約380nmの近紫外線までの範囲に分布します。この波長域での観測は、可視光では捉えられない宇宙の姿を明らかにする上で非常に重要です。

紫外線の観測

紫外線のスペクトル線測定は、星間物質の化学組成、密度、温度を特定するのに役立ちます。また、若い恒星の温度と組成を識別する上でも重要な役割を果たします。さらに、宇宙の進化に関する重要な情報も紫外線観測から得られます。

紫外線で観測する宇宙は、私たちが可視光で見慣れている恒星や銀河とは大きく異なります。ほとんどの恒星は比較的低温で、可視光スペクトル範囲の電磁波を多く放射しますが、紫外線はより高温の天体の兆候を示します。これには、恒星の進化の初期段階や晩期段階にある天体が含まれます。

もし、私たちが紫外線で空を見ることができれば、可視光では目立たないものの、誕生または死を迎えつつある、非常に若く巨大な恒星や、非常に古い恒星や銀河を観測できるでしょう。これらの天体は高温であり、高エネルギー放射線を生み出しています。また、天の川に沿って広がるガスや塵の雲も、紫外線の観測を妨げる要素となります。

紫外線天文学と光学天文学

紫外線天文学は、多くの場合、鏡、レンズ、半導体デジタル検出器などの光学部品を使用するため、光学天文学の一部として分類されることがあります。観測には、これらの光学系を搭載した望遠鏡が用いられます。

紫外線宇宙望遠鏡

地上では大気によって紫外線が吸収されてしまうため、紫外線天文学の観測は主に宇宙望遠鏡によって行われます。以下に主な紫外線宇宙望遠鏡を挙げます。

OAO (Orbiting Astronomical Observatory)：初期の宇宙観測衛星。
IUE (International Ultraviolet Explorer)：国際協力による紫外線観測衛星。
アストロン: ソ連の紫外線宇宙望遠鏡。
ハッブル[[宇宙望遠鏡]] (Hubble Space Telescope)：紫外線を含む広範囲な波長で観測を行う多目的宇宙望遠鏡。
FUSE (Far Ultraviolet Spectroscopic Explorer)：遠紫外線スペクトルの観測に特化した宇宙望遠鏡。
GALEX (Galaxy Evolution Explorer)：銀河の進化を紫外線で観測する宇宙望遠鏡。
スウィフト (Swift)：ガンマ線バーストの観測を主目的とするが、紫外線観測装置も搭載。
Extreme ultraviolet Imaging Telescope (EIT)：太陽の極紫外線画像を撮影する宇宙望遠鏡。


これらの宇宙望遠鏡は、近紫外線から遠紫外線までのスペクトルを観測し、宇宙の様々な現象を解明する上で重要な役割を果たしています。

まとめ

紫外線天文学は、可視光では見えない宇宙の姿を捉え、星の誕生、進化、終焉に関する理解を深める上で不可欠です。紫外線観測によって、高温天体の活動や星間物質の特性、そして宇宙全体の進化に関する重要な情報が得られます。これからも紫外線天文学は、宇宙の謎を解き明かすための重要な手段として、さらなる発展が期待されています。

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