紫雲丸

紫雲丸について

紫雲丸（しうんまる）は、日本国有鉄道が運航する宇高航路において1957年から1966年まで就航した鉄道連絡船です。この船は、宇高航路初の車載客船として設計されました。しかし、紫雲丸はその運航中に二度の衝突事故に見舞われ、特に二回目の事故は多くの死者を出す結果となりました。

概要

紫雲丸は全長76.18m、喫水3.50mの設計で、車両甲板には船内軌道が敷設されており、実質的にワム換算で14両を積載可能でした。船尾から積卸しを行ったため、効率的な貨物運送が可能でしたが、設計上の欠陥もあったと言われています。特に、相対的に上部構造物が大きくなるため、全体の安定性に影響を及ぼしたと考えられています。

建造と就航の経緯

宇高航路の急激な貨物・旅客輸送の増大に対応するため、当初は3隻の車載客船が計画され、1947年には紫雲丸が就航しました。設計当初はディーゼル船として開発されましたが、戦後の重油不足により石炭焚き蒸気タービン船に変更されました。1949年には車両航送を開始し、3隻の船が「紫雲丸型」と呼ばれるようになりました。

沈没事故

一回目の沈没

1950年3月25日の深夜、紫雲丸は貨物便として出航しましたが、鷲羽丸との衝突によって沈没し、船長を含む7名が亡くなりました。この時は、浸水を防ぐためのスイッチの故障が原因とされており、事故後には水密辷戸スイッチの電気的改善が行われました。

二回目の沈没（紫雲丸事件）

1955年5月11日、紫雲丸は約781名の乗客と貨車を積載して高松港を出発しましたが、濃霧の中で第三宇高丸と衝突し、168名が死亡する大惨事に見舞われました。この事故の後、運輸省は安全対策の強化に乗り出し、様々な対策が検討され、実施されました。

安全対策の強化

数回の事故対策として、船内の水密隔壁の数を増やし、車両甲板下の設計を見直すなどの改良工事が行われました。また、乗客の避難を容易にするための改修も伴い、救命艇の改善や、船内の出入口の拡幅が進められました。

整備と改称

事故をきっかけとして紫雲丸は「瀬戸丸」と改称され、1966年に運行を終了。再就航の際には外舷色が変更され、新たな装備が施されました。事故を経験したことは船舶運航の安全性向上に大きく寄与しました。

まとめ

紫雲丸はその歴史を通じて多くの教訓をもたらしました。特に、事故後の安全対策が船舶全体の運行安全性に多大な影響を与え、日本の交通史において重要な位置を占めました。今後もこのような事故が起こらぬよう、関係者は不断の努力を続ける必要があります。

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