細田源吉

細田源吉は、1891年（明治24年）に東京で生まれ、後に埼玉県川越市で育ちました。早稲田大学英文科を卒業後、1918年に処女作『空骸』を発表し、作家としてのキャリアをスタートさせました。

1922年には自伝的長編小説『罪に立つ』で注目を集め、1924年には自叙伝的な作品『はたち前』を発表し、川越での生活を現実的に描写しました。細田は、社会の弱者に焦点を当てた作品を多く手掛け、日本プロレタリア作家同盟にも参加し、『誘惑』（1927年）などの作品でプロレタリア文学の作家として活躍しました。

しかし、1932年には治安維持法違反で逮捕され、その後、リューマチに苦しみ、半身不随となりました。1934年頃に転向したとされていますが、1935年には「文学評論」に寄稿しています。転向後は、歴史小説や宗教的な作品を発表しました。

戦後は社会奉仕活動に力を入れ、府中刑務所の篤志面接委員を務めるなど、社会貢献に尽力しました。また、児童文学誌「赤い鳥」に童話を発表したり、俳句の創作活動も続けました。

細田源吉は1974年8月9日に83歳で生涯を閉じました。彼の作品は、社会の底辺で生きる人々の苦悩や葛藤を描き出し、読者に深い感動を与えました。

主な著書

死を恃む女 (1920)
存生 (1923)
はたち前 (1924)
未亡人 (1924)
本心 (1925)
こころさけぶ (1925)
大都市の傭人 (1926)
巷路過程 (1930)
陰謀 (1930)
女性の敵 (1934)
処女日程 (1935)
転向作家の手記 (1935)
支那人街の団欒 (1939)
小説沢庵和尚の一生 (1940)
上人諫言 (1940)
人生に答ふるの書 (1941)
盤珪国師伝 (1942)
血は愛によりて濃し (1942)
信念の書 (1943)
一念 (1943)
巷路過程（復刻版） (2000)

主な翻訳

白痴 (1920)
私の懺悔 (1922)
トルストイ全集 第12巻 (1925)
トルストイ全集 第11 神父セルギー (1927)

関連項目

日本の小説家一覧

外部リンク

* 早稲田と文学（細田源吉） - ウェイバックマシン（2012年7月11日アーカイブ分） - 早稲田大学

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