日本プロレタリア作家同盟

日本プロレタリア作家同盟（略称：ナルプ）は、昭和戦前期の日本において、プロレタリア文学を推進した重要な団体です。この団体は1929年に設立され、文学者たちの連携によって当時の文化運動に大きな影響を及ぼしました。

設立の背景

1928年に結成された全日本無産者芸術連盟（ナップ）は、無産者の芸術活動を促進することを目的としていましたが、その中心には文学者たちが置かれていました。このナップは、後にプロレタリア文化運動を広げるために、それぞれの芸術分野において新たな団体を立ち上げる役割を果たしました。

日本プロレタリア作家同盟は、そうした運動の一環として、特に文学分野に特化した団体として1929年2月に発足しました。ここには新進の作家、例えば小林多喜二や徳永直、中條百合子などが参加し、プロレタリア文学の核となる存在となりました。

弾圧と抵抗

設立当初から、この団体は厳しい弾圧に直面しました。1930年、資金提供の疑いから小林多喜二たちが逮捕されるという事件が発生し、団体の運営は困難を極めました。それでも作家同盟は全国的に組織を拡大し、さまざまな文学活動を通じて労働者や農民の声を作品に反映させる努力を続けました。

1931年には蔵原惟人が提案した新しい文化組織の結成が進められ、日本プロレタリア文化連盟（コップ）が設立されました。この組織の中で、作家同盟は機関誌『プロレタリア文学』を周知させ、小林多喜二の小説『転形期の人々』などを発表しました。また、全国の労働者や農民から作品の投稿を募り、優れた作品は『プロレタリア文学』に掲載されることとなりました。

しかし、1932年には文化連盟に対する厳しい弾圧が実施され、再び多くの作家が検挙される事態に発展しました。この厳しい情勢の中で、徳永直らは作家同盟からの独立した組織づくりを志向し、作家同盟を離れる決断を下しました。一方で、林房雄は政治に関与することを避け、文学創作に専念する立場を取るようになります。

解散への道

1934年、作家同盟の書記長だった鹿地亘は、この団体の解散を決定しました。2月22日付けで発表された「ナルプ解体の声明」は、プロレタリア文学運動の一つの終焉を象徴するものでした。このように、日本プロレタリア作家同盟は、短期間ではありましたが、日本におけるプロレタリア文学の発展に多大な影響を与え、社会的なメッセージを文学として表現するための重要なプラットフォームとなっていました。

参考文献

- 山田清三郎『プロレタリア文学史』（理論社）
- 『日本プロレタリア文学集』別巻（新日本出版社、1988年、ISBN 4-406-01693-7）

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