細胞診

細胞診：顕微鏡で細胞を観察する精密検査

細胞診とは、人体の様々な部位から採取した細胞を、顕微鏡を用いて観察・分析する検査法です。採取された細胞を標本として作成し、専門家が顕微鏡下で詳細に観察することで、病気の有無や種類を特定します。大きく分けて、スクリーニングを目的とした細胞診と、診断を目的とした細胞診の2種類があります。

スクリーニング的細胞診：早期発見のための検査

スクリーニング的細胞診は、主にがん検診などで用いられる検査です。病気の兆候を早期に発見することを目的としており、健康な人でも受けることが一般的です。代表的な例としては、子宮頸がん検診における子宮頸部細胞診や、肺がん検診における喀痰細胞診が挙げられます。

検体採取方法は、部位によって異なります。子宮頸がん検診では、子宮頸部を専用のブラシで優しく擦り取り、採取された細胞を標本にします。肺がん検診では、喀痰（痰）の中に含まれる細胞を分析します。

日本では、多くの場合、細胞検査士がまずスクリーニングを行います。検査結果をクラス分類（ClassⅠ〜Ⅴ）し、異常がなければ陰性と判定されます。しかし、異常が疑われる場合は、細胞診専門医や病理専門医が顕微鏡を用いて詳細な観察を行い、より正確な診断を行います。

近年では、米国を中心に細胞診標本の画像解析を行う自動スクリーニングシステムが導入され始めており、検査の効率化や精度の向上に貢献しています。また、細胞診材料の機器分析も研究開発段階にあり、将来的な検査精度管理への応用が期待されています。

診断的細胞診：病変部の精密診断

診断的細胞診は、既に病変が発見されている場合に、その病変部の性質を詳しく調べるために実施される検査です。例えば、乳腺や甲状腺にできたしこりが良性か悪性かを判断する際に、穿刺吸引細胞診が用いられます。これは、細い針を用いて病変部から細胞を吸引採取し、標本を作成して顕微鏡で観察する方法です。

診断的細胞診では、採取された細胞の量や質が診断の精度に大きく影響します。十分な量の細胞が採取できていない場合、「不適正標本」と判定されることがあります。

日本では、多くの場合、細胞検査士が標本に異常細胞をマーキングし、細胞診専門医や病理専門医が最終的な診断を行います。この診断は、医療行為に該当します。細胞診専門医や病理専門医の専門的な知識と経験が、正確な診断に不可欠です。

まとめ

細胞診は、顕微鏡を用いて細胞を直接観察する精密な検査法です。スクリーニング検査と診断的検査の2種類があり、それぞれに目的と手順が異なります。細胞検査士や細胞診専門医、病理専門医といった専門家の知識と技術が、正確な検査結果と適切な治療につながります。早期発見・早期治療を目指す上でも重要な検査法であり、必要に応じて積極的に受けることが推奨されます。

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