終戦のエンペラー

映画『終戦のエンペラー』の概要

『終戦のエンペラー』（しゅうせんのエンペラー）は、2012年に公開されたアメリカの歴史映画です。この作品は、第二次世界大戦直後の日本に焦点を当てており、昭和天皇が戦犯として裁かれることを回避した経緯を描いています。特に、物語は実在のアメリカ軍軍人ボナー・フェラーズを中心に進み、フィクションを交えながら進行します。主な撮影はニュージーランドで行われたものの、日本国内でもロケが実施されており、商業映画として初めて皇居敷地内での撮影が許可された作品でもあります。

原作とあらすじ

本作の基になった原作は、岡本嗣郎の『陛下をお救いなさいまし 河井道とボナー・フェラーズ』です。そのストーリーは、1945年8月30日にアメリカ合衆国のGHQ最高司令官ダグラス・マッカーサーが日本に上陸し、アメリカによる日本の統治が始まったところから始まります。マッカーサーは戦争犯罪の一斉検挙を行うことを目指しており、国内では天皇の訴追を求める声が高まっていました。これに対し、マッカーサーは天皇を逮捕することで日本国民の反発を招きたくないと考え、天皇の開戦意図に関与した証拠を探し始めます。

ボナー・フェラーズ准将は、知日家として知られ、開戦前の恋人である島田あやを心配しつつ調査を進めます。彼は東条英機や近衛文麿などの当時の重鎮たちと接触し、天皇がどのように開戦に関与したかを聴取します。しかし、天皇が実際に開戦に関与していたかどうかの証拠は見つからず、フェラーズは調査を続ける中で、あやの訃報を知ることになります。彼は深い悲しみを抱えつつも、調査を進める中で天皇が降伏の意志を閣僚に求めていたことを知り、マッカーサーへの報告を行います。

マッカーサーとの会談

フェラーズの報告を受けたマッカーサーは、証拠が少ないことに不満を抱くものの、天皇の人物像に興味を示します。そのため、彼との会談を設けるよう命じます。この会談は赤坂の米国大使公邸で行われました。天皇は側近からの制止を振り切り、握手を交わし、タブーとされていた写真撮影にも応じます。彼は全責任を自らに負うとし、日本国民が罰を受けるべきではないと述べるのです。マッカーサーも日本の再建のために天皇の力を借りたいと応じ、会談は和やかに進行しました。

配役と制作背景

この映画には、ボナー・フェラーズ役をマシュー・フォックス、ダグラス・マッカーサー役をトミー・リー・ジョーンズが演じるなど、多くの才能ある俳優が参加しています。また、制作には奈良橋陽子が関わり、彼は祖父からの影響でこのテーマに興味を持ちました。フィクションの要素を取り入れることで、作品に深みを与えることが試みられました。

公開と評価

『終戦のエンペラー』は、2012年9月にトロント国際映画祭でプレミア上映されました。アメリカでは、映画が「日本の戦争責任を無視している」との批判も受けましたが、日本では興行成績が好調で、最終的に約12.1億円を収益として挙げました。このように、本作は歴史的な背景を扱いながらも、さまざまな反響を呼び起こす作品となりました。

この映画は、戦後の日本を知り、昭和天皇という歴史的人物の複雑な定位を考える上で、重要な資料となるでしょう。

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