終着駅 (奥村チヨの曲)

奥村チヨ「終着駅」

「終着駅」（しゅうちゃくえき）は、日本の歌手、奥村チヨによって歌われ、1971年12月25日にシングル盤としてリリースされた楽曲です。別れをテーマにした情感あふれるメロディーと、情景描写に富んだ歌詞が多くの人々の心に響き、奥村チヨの代表曲の一つとして広く認知されています。

オリジナルシングル（1971年）

1971年版のシングルは、リリース当時から高い評価を受け、ヒットを記録しました。このシングル盤には、A面曲として「終着駅」が、そしてB面（カップリング）曲として「気ままぐらしの女」が収められています。

収録曲詳細：

終着駅
演奏時間：3分15秒
作詞：千家和也
作曲：浜圭介
編曲：横内章次

作詞を担当した千家和也と作曲の浜圭介は、ともに日本の歌謡界で数々のヒット曲を生み出した著名なクリエイターです。二人の共作による本作は、叙情的でドラマティックな世界観を見事に描き出しています。編曲の横内章次によるアレンジは、楽曲の持つ哀愁を一層引き立てています。

気ままぐらしの女
演奏時間：2分34秒
作詞：阿久悠
作曲・編曲：筒美京平

カップリング曲には、こちらも日本の音楽シーンを代表する作詞家、阿久悠と、作曲・編曲家である筒美京平という、強力なタッグによる楽曲が収録されています。阿久悠による個性的な歌詞と、筒美京平の洗練されたメロディーワークが光る一曲です。

新録バージョン（1995年）

オリジナル版のリリースから20年以上を経た1995年7月5日には、「終着駅 '95」として、新たにレコーディングされたバージョンがシングルとして発売されました。これは、時代を経ても色褪せない楽曲の魅力を再認識させるものとなりました。

収録曲詳細：

終着駅 '95
演奏時間：4分29秒
作詞：千家和也
作曲：浜圭介
編曲：千住明

作詞・作曲はオリジナルと同じ千家和也と浜圭介が担当していますが、編曲はクラシック界からポップスまで幅広く活躍する千住明が手掛けています。千住明による新たなアレンジは、楽曲に新鮮な息吹を与え、より現代的な響きを持たせています。演奏時間もオリジナルより長くなっています。

恋泥棒 '95
演奏時間：3分25秒
作詞：なかにし礼
作曲：鈴木邦彦
編曲：奥居史生

カップリングには、奥村チヨの他のヒット曲「恋泥棒」のセルフカバーバージョンが収録されました。作詞はなかにし礼、作曲は鈴木邦彦という、こちらも名匠による楽曲です。編曲は奥居史生が担当し、こちらも新たなアレンジで生まれ変わっています。

主なカバーバージョン

「終着駅」は、その普遍的なテーマと美しいメロディーから、時代やジャンルを超えて多くのアーティストによってカバーされています。主なカバー例としては、以下のようなものがあります。

石川さゆり：1976年発売のアルバム『あいあい傘』に収録。
中森明菜：1994年発売のカバーアルバム『歌姫』に収録。
石原詢子：2006年の舞台『劇団シニアグラフィティ旗揚げ公演 昭和歌謡シアター 終着駅』関連DVDに収録。
* 桑田佳祐：2009年開催のライブ『昭和八十三年度! ひとり紅白歌合戦』の模様を収めたDVDに収録。

これらのカバーは、それぞれのアーティスト独自の解釈で楽曲に新たな魅力を加えており、「終着駅」が日本のポピュラーミュージックにとって重要なレパートリーであることを示しています。

関連作品

本楽曲は、2006年に上演された舞台『劇団シニアグラフィティ旗揚げ公演 昭和歌謡シアター 終着駅』のテーマとして取り上げられました。この舞台は、楽曲の世界観を基にした物語が展開され、「終着駅」が単なる歌謡曲に留まらず、一つの物語を生み出すインスピレーション源ともなったことを示しています。

「終着駅」は、その完成度の高い楽曲構成と、歌い継がれることによって証明される普遍的な魅力により、日本の歌謡史において特別な位置を占める楽曲と言えるでしょう。オリジナル版から新録版、そして数多くのカバーや関連作品に至るまで、多岐にわたる展開を見せています。

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