経済新体制確立要綱

経済新体制確立要綱の概要

経済新体制確立要綱（けいざいしんたいせいかくりつようこう）は、1940年12月7日に第2次近衛内閣によって閣議決定された国家の経済に関する重要な政策指針です。この要綱は、戦時体制下における日本の経済の方向性を示すものであり、特に国防と経済の自給自足を重視しています。

1. 基本方針

要綱の最初の部分では、日満支（日本・満州・中国）を一体として大東亜共栄圏を確立し、国防経済の自主性を確保することが掲げられています。これにより、重要産業を中心にした計画経済を推進し、戦時中の緊急事態に対応しつつ、国民の生活を安定させ、経済の永続的な繁栄を図ることを目指しています。

2. 企業体制の確立

企業体制に関しては、民営を基本としながらも、特別な必要がある場合に限り国営または国策会社による経営を認めています。企業には自主的経営を促し、その生産性を最大限に引き上げることを求めています。特に中小企業に対しては、維持・育成を重視し、自主的な整理統合を助成する方針も示されています。

信じられないかもしれませんが、企業の利益分配にも制限を加えられ、過剰な利益は特定の条件に従って留保されることになります。また、新たな発明や発見に対しては報奨制度も設けられ、技術の進歩を促進することが意図されています。

3. 経済団体の組織

経済団体の設立については、特定の業種や物資に関連する業者を基に、必要に応じて経済団体を組織することが求められています。これには特殊法人としての形態が取り入れられ、業者の推薦を基に政府による認可のもとで運営されます。

重要産業経済団体は、政府に対する協力機関として機能し、政策の立案から実施に至るまで担当し、必要に応じて経済団体を監督します。特に軍事上の必要性が高い企業には特別な考慮が求められています。

4. 今後の方向性

この要綱は、現下の時局に強く影響され、その実施には細心の注意が払われることが求められています。生産力の低下や配給の不調を避けるために、段階的に実施されることになっており、民心を安定させることが目指されています。

さらに、これに伴い関係行政機構やその事務の見直しも行う必要があるとされており、柔軟な対応が不可欠です。経済新体制確立要綱は、戦時中の日本における経済政策の指針として、国家の経済体制を再編成し、国防体制の充実と国民生活の安定を図る重要な役割を果たしています。

このように、経済新体制確立要綱は、当時の日本における経済の自給自足及び国防の強化を目指したものであり、企業や経済団体の運営に対して具体的な指針を示しています。

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