経済最前線

経済最前線

「経済最前線」（けいざいさいぜんせん、英語表記:BUSINESS FRONT LINE）は、かつてNHKの衛星第1テレビ（BS-1）で放送されていた、経済に特化したニュース番組です。1998年4月から2010年3月まで、約12年間にわたって放送されました。日本国内だけでなく、海外向けのNHKワールド・プレミアムでも時差を設けて放送されていました。

番組の概要

本番組は、その日の日本と世界の経済の動きをレポートすることを主軸に置いていました。日々の経済動向の分析に加え、企業の経営トップへのインタビューや、注目される新商品の紹介なども行っていました。特に、海外の金融市場の動きを迅速に伝えるため、ニューヨークやロンドンの主要な金融機関とテレビ電話を通じて結び、現地の様子や市場の反応を詳細に報じていました。

また、毎週金曜日には、翌週のマーケットで注目すべき点や予測について、専門家を招いて深く掘り下げるコーナーが設けられていました。これにより、視聴者は週末にかけて翌週の経済の動きに備えるための情報を得ることができました。

番組の特徴的なスタイル

番組開始当初、特に岩間正之キャスターが担当していた時期までは、オープニングにおけるキャスターの振る舞いが特徴的でした。通常のニュース番組とは異なり、二人のキャスターがお辞儀や挨拶をすることなく、番組の「編集長」という位置づけだった男性キャスターが、いきなりその日の経済動向について語り始めるというスタイルは、当時のテレビ番組としては非常に斬新で、視聴者に強い印象を与えました。

番組の沿革

「経済最前線」は、1995年1月から放送されていた「NHKビジネスライン」の後継番組として、1998年4月にスタートしました。開始当初は独立した番組ではなく、「BS22」やその後の「BS23」といった他の番組枠の第2部として放送されていました。

その後、番組は幾度かの編成変更を経ています。2003年11月には「BSニュース経済最前線」として独立番組となりました。しかし、2004年11月から2005年3月にかけては、「きょうの世界」という別の番組の枠内（21時台、第3部）で、「きょうの世界 経済最前線」として放送される期間もありました。再び独立番組となったのは、2005年3月28日からのことです。

2006年1月には、放送時間が従来の30分から15分へと半減されました。これに伴い、特定のテーマを掘り下げる特集コーナーと、英語での二ヶ国語放送が終了しました（特集コーナーは、午後に放送されていた「東京マーケット情報」という番組で継続されました）。その後、2006年11月からは放送時間が20分に延長されています。

技術的な面では、2006年11月20日の放送から、BSデジタル放送における画角16:9のワイドサイズでの放送に対応しました。

また、2008年12月からは、NHKが提供するオンデマンド配信サービスでも視聴が可能となりました。この際、経済に特化した専門性の高い内容であるためか、一般的なニュース番組が対象となる「見逃し見放題パック」には含まれず、個別に番組を購入・視聴できる形態が取られていた点は特徴的でした。一方で、NHKワールドTVでの放送は、2008年3月28日をもって終了しています。

番組の終了とその後

「経済最前線」の歴史は、2010年3月をもって幕を閉じました。これは、日本のテレビ放送における完全デジタル化に伴い、NHKの衛星放送が従来の3波体制から2波体制に見直されることになり、全番組系統で大規模な編成変更が行われた結果でした。2010年1月29日に発表された新年度編成で、番組の終了が正式に明らかにされました。

しかし、番組の経済ニュースという役割は、総合テレビへと引き継がれることになります。この番組は、『きょうのニュース&スポーツ』のスポーツコーナーと統合される形で、2010年3月29日から『Bizスポ』という新番組としてスタートしました。

最終回となった2010年3月26日の放送は、「世界経済と歩んだ12年」と題され、約12年間にわたる番組の歴史を振り返る総集編として放送され、有終の美を飾りました。

主な放送時間（終了時点）

NHK衛星第1（BS-1）：23:40 - 24:00
NHKワールド・プレミアム：0:55 - 1:15（火曜 - 土曜未明、時差放送）

なお、祝日や盆休み、年末年始の期間中は、特番編成のため休止となることがありました。

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