経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の選択議定書

経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の選択議定書

概要

経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の選択議定書は、2008年12月10日に国際連合総会で採択された多国間条約です。この議定書は、社会権規約に基づく個人通報制度や国家通報制度、調査制度を規定しています。現在、46か国が署名し、28か国が批准しており、2013年5月5日に発効しました。

沿革

社会権規約は、国際的な実施措置として報告制度のみを設けていました。これに対し、自由権規約は個人通報を可能とする選択議定書を持っており、社会権規約にも同様の制度が必要だという声が高まりました。1990年に社会権規約委員会が個人通報制度導入に関する問題をまとめ、1993年の世界人権会議では、社会権規約委員会と協力して選択議定書を検討するよう勧告されました。

1997年には社会権規約委員会が選択議定書の草案を採択し、その後の数年間で議論が続きました。最終的に2008年には人権理事会に草案が提出され、同年6月18日に議定書が採択されました。さらに、2008年12月10日、国連総会において選択議定書が正式に採択され、2009年には署名式が行われました。

個人通報制度

選択議定書に基づく個人通報制度は、権利が侵害された個人が実施機関に通報できる仕組みです。具体的には、選択議定書を締約国に所属する個人またはその集団からの通報が受理され、国内での救済手続を経てから通報することが求められます。その後、社会権規約委員会は通報を受理し、関係国に注意を喚起し、調査を行った上で所見を提出します。

国家通報制度と調査制度

選択議定書では、国家通報制度と調査制度も設定されています。第10条の受入れを宣言した締約国は、他の締約国に対して社会権規約の不遵守を通報することができます。また、第11条の受入れを宣言した国においては、社会権規約委員会が重大な権利侵害に関する情報を受け取った場合、調査を行い、結果を公表することが可能です。

締約国の状況

選択議定書に署名し、締約国になるには、署名後に批准または加入する必要があります。2023年10月時点で、選択議定書を批准した国はアルゼンチン、ベルギーなどの28か国に及びます。これにより、同議定書の制度が適用され、各国での経済的、社会的、文化的権利の保護が進められています。

結論

経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の選択議定書は、社会権規約に基づく重要な人権保護の枠組みです。個人通報制度や国家通報、調査制度を通じて、締約国の人権状況を改善し、権利侵害を防ぐことが期待されています。これにより、さまざまな国での人権が尊重され、より公平な社会の実現へとつながっていくでしょう。

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