経済雑誌社

経済雑誌社とその影響

経済雑誌社は、1879年に田口卯吉によって創立された出版社であり、初の経済専門雑誌『東京経済雑誌』を発行しました。この雑誌は、日本の経済界において重要な役割を果たしました。

設立の背景

田口卯吉は1878年に大蔵省を退官し、新たな道を模索していた際に、岩崎小二郎や渋沢栄一などの有力な支援者とともに経済雑誌社を設立しました。この頃、米国やイギリスの経済思想が注目され、日本もその流れを取り入れる必要性があったのです。私たちが知る『東京経済雑誌』は、イギリスの『エコノミスト』を模範にしたもので、日本における経済的論点を広く扱うことを目的としていました。

『東京経済雑誌』の役割

創刊当初、同雑誌は隔週刊として始まりましたが、次第に週刊へと移行しました。その内容は、自由貿易や経済政策に関する論説、正確な経済統計、市況情報などを幅広く掲載し、読者からの支持を受けることができました。特に田口卯吉は自由貿易主義を強く推進し、日本における経済評論の第一人者としての地位を確立しました。

『東京経済雑誌』には、創刊当初から石川暎作が関わり、彼はアダム・スミスの『国富論』を日本語に翻訳し、同誌で紹介するなど、日本経済における重要な功績を残しました。

ライバルとの論争

『東京経済雑誌』の発行中には、同じ時期に創刊された『東海経済新報』といった競合誌との論争がありました。この競争は、経済理念の対立を反映したものであり、特に保護主義と自由主義の間の激しい議論が繰り広げられました。例えば、1890年代には、綿花輸入税や綿糸輸出税の廃止運動に対し、雑誌は自由貿易を支持する姿勢を示しました。

経済史における重要性

『東京経済雑誌』は明治から大正にかけて、経済史や思想史の研究において欠かせない存在となりました。その思想的基盤は主に古典派経済学に根ざしており、当時の経済情勢や政策についての洞察を提供しました。また、1900年代初頭には、田口の親戚である地理学者河田羆が同雑誌に寄稿を始め、さらなる知見をもたらしました。

復刻版の出版

1981年から1996年にかけて、その影響力と重要性から、東京経済雑誌社は全巻2138冊の復刻版を日本経済評論社から発行しました。この復刻は、過去の優れた経済評論を後世に伝えることを目的としており、現在でも研究や教育の場で利用されています。

結論

経済雑誌社が発行した『東京経済雑誌』は、日本の経済思想を形成する上で大きな影響を与えた存在です。その自由主義的な立場から、当時の経済の状況や問題を鋭く分析し、多くの読者に受け入れられていました。

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