結物語

『結物語』：新たな怪異と成長の物語

『結物語』（むすびものがたり）は、西尾維新による人気小説シリーズ〈物語〉シリーズの通巻22巻目として、2017年1月に講談社BOXレーベルから刊行されました。イラストはVOFAN氏が担当しています。

概要

本作は、『終物語』で一旦完結した〈物語〉シリーズのその後を描く、オフシーズンの第4弾であり完結編です。物語は大きく時間軸を動かし、主人公・阿良々木暦とその仲間たちが5年後の世界でどのように生活しているかが描かれます。

特筆すべきは、主人公である阿良々木暦の職業の変化です。彼は大学卒業後、国家総合職試験に合格し、エリート警察官として直江津署に配属されます。そこで新設された「風説課」という部署で、怪異にまつわる事件を扱うことになります。物語は全四話構成で、各話で新たな怪異と新キャラクターが登場しますが、モノクロイラストは、各話のタイトルに冠されたキャラクターではなく、過去のシリーズに登場した神原駿河、忍野扇、羽川翼、忍野忍が描かれているのも特徴です。

また、パッケージイラストには、23歳となったメインヒロインの戦場ヶ原ひたぎが、白無垢姿で描かれています。これは、シリーズ第1巻である『化物語』の表紙を彷彿とさせる構図で、彼女が手に持っているホチキスも同様に描かれています。

あらすじ

高校時代から数々の怪異事件に関わってきた阿良々木暦は、大学進学、そして国家総合職試験合格を経て、エリート警察官となりました。研修のため、地元である直江津署に新設された「風説課」に配属された暦は、そこで半魚人の周防全歌、ゴーレムの兆間臨、人狼の再埼みとめといった、怪異の先輩たちと出会います。さらに、風説課唯一の人間である甲賀葛と共に、街で噂される怪しい風説の調査に乗り出します。

登場人物

阿良々木 暦（あららぎ こよみ）：
本作の主人公。23歳。オフシーズンでは初の語り部を務めます。かつて吸血鬼になった経験を持ちますが、現在はその力をほとんど失っています。視力は人間離れしたままです。警部補として、知能犯係を志望しています。
忍野 忍（おしの しのぶ）：
かつて暦を吸血鬼にした吸血鬼。現在は力を失い、金髪の幼女の姿で暦の陰に潜んでいます。
周防 全歌（すおう ぜんか）：
第一話に登場。直江津署風説課の巡査。交通事故で瀕死の重傷を負った際、人魚の肉を食べたことで一命を取り留めました。水に触れると人魚化する体質を持っています。
阿良々木 火憐（あららぎ かれん）：
暦の上の妹。直江津署の生活安全課で巡査をしています。暦よりも警察官としては先輩です。
臥煙 伊豆湖（がえん いずこ）：
怪異の専門家。「風説課」を設立した張本人です。
神原 駿河（かんばる するが）:
暦の高校時代の後輩。スポーツドクターを目指しつつ、病院でアルバイトをしています。
戦場ヶ原 ひたぎ（せんじょうがはら ひたぎ）:
暦の恋人。金融トレーダーとして海外で働いており、将来について暦とすれ違いが生じています。
兆間 臨（きざしま のぞみ）：
第二話に登場。直江津署風説課の警部。ゴーレムで、定期的な水分補給が必要です。
忍野 扇（おしの おうぎ）:
忍野メメの姪を自称する少女。直江津高校の七不思議となっています。
再埼 みとめ（さいさき みとめ）:
第三話に登場。直江津署の風説課の一員。人狼の末裔で、丸いものを見ると狼に変身します。
羽川 翼（はねかわ つばさ）:
暦の高校時代の同級生。世界を旅した後に、戦争調停の活動を行っています。
阿良々木 月火（あららぎ つきひ）：
暦の下の妹。ダンススクールへの入学を考えています。
甲賀 葛（こうが つづら）:
第四話に登場。直江津署風説課の課長。唯一の人間で、怪異を見ることはできません。
老倉 育（おいくら そだち）：
暦の幼馴染で、現在は会計士。相変わらず暦に悪態をついています。

書籍情報

タイトル：結物語
著者：西尾維新
イラスト：VOFAN
レーベル：講談社BOX
発売日: 2017年1月12日
ISBN：978-4-06-283900-6

Webアニメ

2024年7月よりWebアニメ『〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズン』にて、本作がオフシーズンの他の3作品と共に配信されます。

脚注

出典

外部リンク

講談社BOX：西尾維新＜物語シリーズ＞公式サイト
* 結物語刊行記念サイト「貝木ダイレクト」

『結物語』は、シリーズのファンにとって見逃せない、新たな展開と魅力的なキャラクターたちが織りなす物語です。ぜひ、手に取ってその世界観を堪能してください。

もう一度検索