統合打撃戦闘機計画

統合打撃戦闘機計画（JSF）

統合打撃戦闘機計画（Joint Strike Fighter Program、JSF）は、アメリカ合衆国及びその同盟国が既存の戦闘機や攻撃機を更新するための大規模な開発プログラムです。このプログラムは、アメリカやイギリス、カナダなどの国々が協力して、新しい戦闘機を一貫して開発することを目的としています。特に、F-16やA-10、F/A-18、AV-8Bといった様々な戦術航空機の後継機として位置づけられる新型機が求められています。

プログラムの概要

JSFプログラムでは、基本となる機体から、通常離着陸型（CTOL）、空母離着陸型（CATOBAR）、短距離離陸・垂直着陸型（STOVL）の3つの派生型が開発されます。このプロジェクトは、ボーイングのX-32とロッキード・マーティンのX-35との競争を経て、最終的にX-35に基づくF-35が採用されました。2009年、アメリカ国防総省は、2,443機のJSFを購入する計画を公表しました。最終的な生産数は5,000機を超える見込みで、F-16の導入国からも関心が寄せられています。

背景

1990年代に、アメリカの各軍は運用している航空機の更新が迫っている状況にありました。冷戦終結後、国防予算が厳しくなる中、新たな航空機を大量に開発・調達する必要性が高まり、これを実現するためのコスト削減が求められました。そのため、各軍の要求を満たす共通の機体を開発する方向で進められ、「統合先進攻撃技術（JAST）」計画が始まりました。この計画の成果は、JSF計画へと転換されます。

計画は、空軍、海軍、海兵隊の要求を基本にしており、アメリカとイギリスの参加が重要な要素となっています。各国は、開発にあたる費用を分担し、共同で技術開発を進めることで効率化を図る狙いもあります。

参加国と出資割合

参加国はその出資割合に応じて、レベル別に分類されます。イギリスは最も大きな影響力を持ち（Level-I）、次いでイタリアとオランダが低い発言権を持つ（Level-II）形です。また、オーストラリアやカナダ、デンマークなどは、開発資料へのアクセス権を持つ（Level-III）立場となっています。さらに、イスラエルやシンガポールなどが優先顧客として参加しています。

開発の競争

JSF計画の初期には、ロッキード・マーティンとボーイングが試作機を開発するための契約を交わしました。それぞれが通常離着陸型、海兵隊向けの短距離離着陸機、空母艦載機型の2機の試作機を製造しました。特に、ロッキード・マーティンのX-35は、複雑な垂直離着陸機構を装備し、高い性能を示しました。最終的に、2001年にシステム開発実証契約がロッキード・マーティンに与えられ、これによりF-35が正式に採用されました。

課題と問題点

しかし、この計画には多くの問題も存在しました。特に開発費の高騰や、計画の遅延が大きな課題として指摘されています。これにより、F-35の単価も上昇し、もともとの予算を超える結果となりました。また、2010年には中国からのサイバー攻撃によって機密データの流出が報じられ、その影響も懸念されています。

JSF計画は、軍事技術の最前線を代表するプロジェクトですが、その推進には多くの課題が残されています。この計画が成功することで、今後の航空機開発や運用がどのように進むのか、注視が必要です。

もう一度検索