統合教育

統合教育とは

統合教育は、健常者と障害者を同一の教育環境で学ばせる取り組みです。この概念は「インテグレーション」や「メインストリーミング」という用語でも知られていますが、特にアメリカでは、メインストリーミングは異なる文脈で使用されることがあります。ここでは、健常児と障害児を分けることなく教育することを目指しますが、正確には、あらかじめ両者を区別した上で同じ場での教育を行うものです。

一方で「インクルージョン」という教育方法も存在し、こちらは障害の有無に関わらず、それぞれの教育ニーズに合わせた柔軟な形態を指します。近年、障害と健常の境界はあいまいであることが明らかになっており、固定的な分類ではなく、特別な支援を必要とする教育が急務であるという声が高まっています。

日本における統合教育の歴史

日本での統合教育の始まりは、1979年にさかのぼります。この年、養護学校が義務化され、重度の障害児も学校教育を受けられる機会が大幅に増加しました。それまでは多くの障害児が自宅や施設で過ごすしかありませんでしたが、義務化によって教育へのアクセスが広がり、社会における意義は大きかったです。しかし同時に、「障害児は養護学校へ」といった分離意識が強化された側面も否めません。

法制度と専門家の役割

日本では、普通学校に特別支援教育を行う専門家を置くことが法律で義務付けられていません。そのため、普通学校に在籍する障害児に対しては、外部の専門機関との連携が求められ、適切な教育環境の整備が急務とされています。また、特別支援教育の充実には財源の確保、教員の専門性向上、免許制度の整備が課題となっています。

就学に際しては、保護者や本人の意見をしっかりと分かり合い、子ども一人一人の実情に応じた支援が求められます。その一環として、認定就学制度も設けられています。たとえば、埼玉県東松山市では、すべての障害児が希望する学校に入れるよう、特別な委員会を廃止しました。これにより、全国でも例を見ない政策が推進されています。

海外の状況

日本だけでなく、他国にも統合教育に関する様々な歴史があります。スウェーデンでは、過去に知的障害者に対する強制不妊手術が行われており、この事実が明らかになると、福祉国家として名高い同国に対し大きな驚きが広がりました。こうした問題が啓蒙活動を促す中、統合教育の理想に向けた動きが加速しています。

特殊教育の段階

統合教育には複数の段階があり、以下のように分けられます。
1. 就学義務の猶予・免除 - 障害児が教育を受けられない状態。
2. バリアフリー教育 - 障害児のために特化した教育。
3. 交流教育 - 健常者との交流を重視。
4. インテグレーション - 同じ環境での教育を目指す。
5. メインストリーミング - 制限の少ない環境下での教育。
6. インクルージョン - 誰もが受けられる教育。

この段階は、あくまでおおよその指針であり、実践にあたってはさまざまな要素を考慮する必要があります。

問題点とその解決策

統合教育には多くの利点がありますが、課題も多いです。健常者側から見ると、異常行動による影響や教師のリソースが障害者のケアに偏ることで、全体的な教育の質が低下する懸念があります。さらに、障害児の保護者の希望により、特定の健常児が介助者として任命されることもあり、その結果、障害者の負担が増加するケースも見受けられます。このような状況は、障害者排除の思想を助長する危険性があるため、教育の現場では注意が必要です。

障害者側にとっても孤立感やいじめ、さらには新たな差別の問題が生じる可能性があります。特別支援学校の存在は、時に「レベルの低い学校」とみなされることもあり、こうした偏見がさらに深刻化する恐れがあります。これらの問題を解決するためには、理解ある教育環境の整備が不可欠です。

また、教員の専門性に関しても課題が見られます。多くの場合、教員は障害者指導に関する十分な訓練を受けていないため、ストレスや不安を抱えたままでの授業となることがあります。これに対し、特専学校での経験や適切な指導プログラムの整備が求められています。

まとめ

統合教育は、障害者と健常者が共に学ぶことで、多様性を尊重し合う社会を築く手段として重要です。そのためには、制度や環境の整備、保護者や教育者の意識改革が必要です。今後、専門的な支援を受けつつ、多様なニーズに応じた柔軟な教育が求められています。

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