続・西太后

『続・西太后』：権力の影と悲劇の物語

1989年公開の中国・香港合作映画『続・西太后』（原題：一代妖后、VHS邦題：続・西太后 暴虐の美貌）は、1984年公開の『西太后』の続編として制作されました。前作に引き続き、リー・ハンシャン監督が脚本も担当し、西太后の生涯における後の出来事を描いた作品です。北京の故宮を舞台に、壮大な宮廷劇が展開されます。前作と主要キャストや監督は同じですが、今作では西太后の私生活にも触れられています。

映画は、太平天国の乱終結後の1864年から物語が始まります。青年となった同治帝（チェン・ダオミン）のもと、西太后（リウ・シャオチン）は権勢を誇示し、側近である宦官の小安（李岩）を寵愛していました。小安は偽宦官であり、西太后の性的奉仕も担っていました。彼は偽の勅令を用いて私腹を肥やし、侍女の翡翠を自殺に追い込むなど、悪行を重ねます。

一方、同治帝は桂蓮（コン・リー）という女性に出会い、恋に落ちます。しかし、東太后（チェン・イエ）の意向で毅皇后（劉虹）との婚儀が進められており、西太后は桂蓮を宮廷から追放します。西太后は同治帝の教育にも口出しし、毅皇后を嫌っていたことから、二人を引き離そうとします。しかし、同治帝はこっそり桂蓮に会いに行き、彼女が堕落した姿を見て衝撃を受けます。

同治帝は桂蓮との関係を続け、梅毒に感染します。医師たちは正確な病状を伝えなかったため、同治帝の症状は悪化します。毅皇后は献身的に同治帝を介護しますが、彼女も梅毒に感染していることが判明します。西太后は病気を皇后のせいだと決めつけ、彼女を虐待します。西太后は、妊娠7ヶ月の毅皇后の腹を蹴り、流産させようとします。この行為を見た東太后は激怒し、先帝からの勅命に基づき西太后を処罰しようとするものの、西太后は巧みに東太后を欺き、勅命を燃やしてしまいます。

その後、西太后は自殺未遂の毅皇后を殺害し、東太后をも毒殺します。そして、自分の妹の子を次の皇帝に据え、再び清朝の実質的な支配者となります。

本編時間は90分ですが、一部の海外版では毅皇后の公開処刑シーンが追加され、95分となっています。エンドロールでは、風に揺れる黄色い帯が不吉な雰囲気を漂わせ、物語の暗い結末を象徴しています。映画全体を通して、権力闘争、性、裏切り、そして悲劇的な結末が描かれており、歴史ドラマとしての魅力だけでなく、人間の業の深さを感じさせる作品となっています。豪華なセットや衣装、そして俳優たちの演技も見どころです。史実とは異なる部分もありますが、西太后の生涯とその時代の複雑さを垣間見ることができる作品と言えるでしょう。

もう一度検索