続家庭の事情 さいざんすの巻

映画『続家庭の事情 さいざんすの巻』

『続家庭の事情 さいざんすの巻』は、1954年4月に公開された日本のモノクロ映画で、東宝系にて放映されました。本作は、トニー谷が主演する「家庭の事情」シリーズの第2作として知られています。映画は、ビルの窓拭きをする主人公が、悪徳金融業者による陰謀を解決しようと奮闘する姿をコミカルに描いています。

映画の概要

この作品では、トニーが演じる戸仁井谷夫が中心人物です。彼は父の遺言を忠実に守らず、ビルの窓拭きをしながら日々を過ごしています。しかし、彼はそれを悲観するのではなく、むしろ仕事を通じて様々な人々の生活を見ることに喜びを感じていました。
映画には、様々な企業が登場します。兼梨産業という会社では、OLを務める夏子に恋心を抱く一方で、金満金融が経営を脅かしています。金満金融の社長、江東は、兼梨産業を乗っ取ろうと画策し、社員の鹿島を送り込むという陰謀を巡らせています。

ストーリーの展開

ストーリーは、戸仁井が窓拭きをするビルを舞台に展開します。彼は窓拭きの吊り下げ作業をしながら、夏子と出会い、彼女に夢中になります。兼梨産業は金満金融からの巨額の融資を受けており、返済期限が迫っている状況にあります。一方、江東は、社員を兼梨産業に送り込み、内部から企業を潰す計画を進めます。

ある日、戸仁井は金満の社長室の窓を拭いている際に、何も知らないまま社長の椅子に座ってみます。そこに訪れた代議士の数奇田は、戸仁井を江東社長と勘違いし、カメラをプレゼントします。この出来事が、物語のクライマックスへとつながるきっかけとなります。

その後、戸仁井は江東と数奇田の収賄の現場を目撃し、証拠を写真に収めることを決意します。逃げる際には女装をしてまで危機を乗り越え、ついには金満の金庫室に逃げ込みます。しかし、金庫室には実は偽札が山積みになっていることが明らかになります。この情報を夏子に伝え、彼女と共に江東一味に立ち向かうことに。

映画のクライマックス

戸仁井は、警察と共に江東たちを捕らえ、収賄の証拠を掴みます。結果として、兼梨産業は救われ、石橋社長は喜びを爆発させます。最終的に、戸仁井と夏子は足場の上でロマンチックなキスを交わし、脇で様子を見ていた金ちゃんが「あんたたち、バッカじゃなかろか」とツッコミを入れる場面で物語は幕を閉じます。

作品の制作

本作の原作は三木鮎郎、脚本は賀集院太郎、監督は小田基義が手がけました。映像を彩る美術や音楽においても、当時の日本映画の技術が存分に発揮された作品となっています。また、主演のトニー谷をはじめ、三遊亭小金馬や竹屋みゆきといった実力派俳優たちが揃い、キャラクターの魅力を引き出しています。

誤記として『家庭の事情 さイざんすの巻』と表記されることもありますが、正式には『続家庭の事情 さいざんすの巻』である点は注意が必要です。映画は、当時の世相を反映しつつ、エンターテイメントとして多くの観客に楽しんでもらえる作品となっています。

もう一度検索