綱 (分類学)

綱とは

綱（こう、英: class、ラ: classis）は、生物分類における主要な階級の一つであり、同じ階級に属するタクソンもまた綱と称されます。分類体系において、綱は通常、門と目の間に位置し、時には亜綱（あこう、英: subclass、ラ: subclassis）を下位に持つこともあります。

位置

綱は、生物を系統的に分類するための階層（界・門・綱・目・科・属・種）の中で重要な役割を果たします。これらの中で、綱、目、属、種の四つは、スウェーデンの博物学者リンネによって彼の著作『自然の体系』の初版において定義されました。綱の位置づけが不十分な場合には、門と綱の間に亜門、または綱と目の間に亜綱を追加することが可能です。必要であれば、下門や上綱、下綱、準綱など、さまざまな階級を適宜設けることもあります。

命名法

綱や亜綱に関する命名法は、他の階級に比べて畢竟としてゆるやかです。国際藻類・菌類・植物命名規約や国際動物命名規約、国際細菌命名規約では、必ずしも名付けの優先権や名前のタイプに忠実である必要はありません。特に植物界においては、綱や亜綱を名付ける場合には語尾を統一することという指針がありますが、説明的な名前ではこの規定は適用されません。なお、植物学における上綱や下綱はあまり一般的には用いられません。

歴史

綱という用語は、1694年にフランスの植物学者トゥルヌフォールによって初めて、分類級の名前として用いられました。それ以前は「最高位の属（genus summum）」という名称が使われていました。その後、リンネが1735年の『自然の体系』の第1版で動植物や鉱物を対象にして綱という階級を導入しました。19世紀になるまでは、生物の分類において綱が最上位の分類階級として認識されていましたが、その後、門の概念が登場し、さらに界の層が加わることになります。

動物分類学における綱

リンネの分類法では、動物は哺乳綱（Mammalia）、鳥綱（Aves）、両生綱（Amphibia）、魚綱（Pisces）、昆虫綱（Insecta）、蠕虫綱（Vermes）の6つの綱に分けられました。この中の初めの4つは、古くからの有血動物の伝統的な分類に基づいており、無血動物はおおまかに分けられ、後には現在の節足動物とそれ以外に分類されるようになりました。特に、哺乳綱や鳥綱、両生綱は現在でも広く使用されています。魚については、魚綱が一般的に使われますが、現在の科学的理解では魚上綱という呼称が多いです。なお、当時の分類では、爬虫類は両生綱に分類されていました。

18世紀末から19世紀初頭にかけて、フランスの博物学者ラマルクやキュヴィエによって、動物の更なる分類が進められました。ラマルクは脊椎動物と無脊椎動物という区分を導入しました。キュヴィエは、綱の上位に位置する「分岐」という概念を設け、無脊椎動物を細分化していきました。

植物分類学における綱

同時期、リンネは植物を24の綱に分類しました。これは雄蕊の数や形に基づいた分類で、1694年には植物にも性が存在することが証明されています。リンネの分類法は、江戸時代の日本にまで広まりましたが、19世紀半ば以降はほとんど使用されなくなりました。

結論

生物の分類における綱の位置づけは、非常に重要です。綱に関連する用語や命名法、歴史的背景を理解することで、生物の多様性をより深く学ぶ手助けとなります。

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