網代漁港

網代漁港（あじろぎょこう）

日本国内には「網代漁港」という名称を持つ漁港が複数存在します。中でも代表的なのは、静岡県熱海市、鳥取県岩美町、そして愛媛県南宇和郡愛南町に位置する漁港です。これらの漁港は、所在地の地理的条件や地域の水産業の特性に応じた役割を担っており、また、漁港漁場整備法に基づき定められる漁港の種別も異なります。それぞれの漁港が持つ特徴を見ていきましょう。

各地の網代漁港

静岡県の網代漁港

静岡県熱海市網代に位置し、[第3種漁港]に指定されています。第3種漁港は、全国的な水産業の振興上特に重要な漁港であり、広域的な利用に対応する規模と機能を持つことが一般的です。相模灘に面し首都圏にも近いこの網代漁港は、新鮮な魚介類を供給する拠点の一つとして、地元の漁業だけでなく広範囲の活動を支えています。漁船の安全な出入りのための設備や、水揚げ・流通機能が整備されており、地域経済に貢献しています。

鳥取県の網代漁港

日本海の豊かな漁場を背景に持つ鳥取県岩美町網代の漁港も、静岡と同様に[第3種漁港]です。山陰地方の主要な漁業拠点の一つとして、広範な海域での漁業活動を支え、多様な種類の水産物を水揚げしています。第3種漁港として、地元の漁業支援に加え、より広域な水産物供給や関連産業との連携を通じて、地域全体の水産業の発展に寄与しています。漁船の安全確保や漁獲物の適切な管理・出荷のための施設が整備され、漁業従事者の活動を包括的にサポートしています。

愛媛県の網代漁港

愛媛県南宇和郡愛南町網代に位置し、[第1種漁港]に指定されています。第1種漁港は、主として地元の漁業に利用される小規模な漁港です。この網代漁港は、地域に根差した沿岸漁業や養殖業を支える生活基盤としての性格が強いと言えます。地元漁船の日常的な利用、小規模な水揚げと地域内での流通、そして漁船の避難場所としての機能などが主な役割です。地域の食卓を支え、コミュニティと密接に関わる存在です。

漁港種別の違いと網代漁港の役割

網代漁港には、全国的な水産業振興の拠点となり得る[第3種漁港]（静岡、鳥取）と、主として地元の漁業に利用される[第1種漁港]（愛媛）があります。この種別の違いは、それぞれの漁港が担う役割や規模、そして地域における位置づけの違いを反映しています。

しかし、種別や規模が異なっていても、これらの網代漁港に共通するのは、地域における水産業の重要なインフラであるという点です。漁船の安全な活動を支え、新鮮な海産物を供給し、水産関連産業や地域経済を支えています。また、漁船の係留や避難場所、さらには防災拠点としての機能も担っており、地域の安全・安心にも寄与しています。網代漁港は、それぞれの地域において、産業、文化、そして人々の暮らしと深く結びついた、生きた拠点であると言えるでしょう。

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