網切騒動

網切騒動についての詳細

網切騒動は、1855年に蝦夷国江差港周辺で発生した重要な歴史的事件です。この騒動は、小規模漁師たちが鰊漁における大網の使用停止を求めるものでした。

背景

松前藩は、自身の水産資源を保護し、小規模漁民の生活を守るために、鰊漁での大網の使用を禁止しました。しかし、実際には大商人たちが場所請負人として大網を使用することが許可されており、彼らの意向が密かに受け入れられていました。これにより、藩はその収益の一部を税金として受け取る形で財政を支えてきたのです。

事件の発生

1855年の春には異常な不漁が発生し、漁民たちの生活が脅かされました。漁民たちは松前藩に対し、大網の使用禁止を徹底するよう求めましたが、藩は期待されるほどの対策を講じませんでした。この対応に憤慨した乙部・熊石地方の漁民500人は、ついに西蝦夷地に存在する大網を切り破る行動に出ました。こうして漁民たちは江戸幕府の直轄地にまで及ぶ攻撃を行い、大網を破壊しました。

処理とその影響

事件が発生する直前、漁民たちが居住する沿岸部が松前藩から江戸幕府に上知されるという合意が成立していたため、事件の処理をどのように行うかが問題になりました。その後、松前藩は漁民の行動を非難しつつも、大網禁止の規定を破ったのは場所請負人と「二八取」にあると指摘し、再度大網の禁止を命じました。しかし、場所請負人や「二八取」は、支配権の移管を見越して箱館奉行に訴え、12月には1年間の大網使用許可を得ることに成功しました。

箱館奉行の対応

箱館奉行は、漁獲の維持と拡大を狙って場所請負人や「二八取」に味方する姿勢を見せました。翌年、漁民たちの救済を目的に、場所請負人と「二八取」から大網1統につき3両を冥加金として徴収し、その2/3を米に換えて8つの村の漁民の支援に充てる方針を立てました。しかしその後、万延元年には無条件で大網の使用を認めることになり、結局漁民の懸念は解消されない結果となりました。

まとめ

網切騒動は、資源管理と小規模漁民の権利の問題を浮き彫りにした出来事として、今なお多くの人々に記憶されています。この騒動は、当時の権力構造や経済状況にも大きな影響を与え、その後の漁業政策にも変化を促しました。

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