網点

網点：画像を点で表現する印刷技術

網点、あるいはハーフトーンとは、連続階調の画像を、紙などの印刷媒体上に配置された小さな点の濃度や配置によって表現する技術です。白黒やカラーに関わらず、様々な色の濃淡を、点のサイズや配置の巧妙な制御によって再現します。これは、印刷が基本的にインクの有無（オンオフ）の2値情報しか扱えないという制約を克服するための、高度な技術と言えるでしょう。

グレースケール網点

グレースケール画像では、白い背景上に黒い点が配置され、その点の大きさや密度によって濃淡が表現されます。点の面積が大きければ濃い灰[[色]]、小さければ薄い灰[[色]]に見えます。これは、人間の目が、十分な距離から小さな点を個別に識別できず、平均的な明るさとして認識する視覚特性を利用しています。高精細な網点であれば、滑らかなグラデーションを再現することも可能です。

カラー網点

カラー印刷では、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック（CMYK）といった複数のインクを用います。それぞれのインクについて、網点パターンを生成し、それらを重ね合わせることで、様々な色が表現されます。各色の網点の密度によって、最終的な色が決まります。例えば、シアンの網点が濃く、他のインクの網点が薄い場合、青みがかった色になります。

網点の解像度とスクリーン線数

網点の解像度は、スクリーン線数（lpi: lines per inch）で表されます。これは、1インチあたりの網点の線数であり、数値が高いほど高精細な画像を再現できます。しかし、スクリーン線数を高くするには、高度な印刷技術が必要であり、線数が粗いと、色の境界が階段状になったり、点同士がくっついてベタ塗り状態になる（ポスタライズ）といった問題が起こる可能性があります。

モアレとスクリーン角度

複数の網点を重ね合わせる際、異なる角度の網点が干渉して、不規則な模様（モアレ）が発生することがあります。モアレは、画像の品質を著しく低下させるため、印刷では、各色の網点パターンを適切な角度で配置することが重要です。一般的に、シアン15°、マゼンタ75°、イエロー30°、ブラック45°といった角度が用いられますが、印刷物や印刷方法によって最適な角度は異なります。

デジタル網点

デジタル網点は、コンピュータを用いて網点パターンを生成する技術です。レーザープリンタやイメージセッターの普及により、1970年代後半から実用化されました。デジタル網点では、画像を構成する各ピクセルに対して、インクの有無を制御することで網点を再現します。そのため、高精細な網点を再現するには、高い解像度（dpi）が求められます。

AMスクリーニングとFMスクリーニング

従来から用いられてきた網点技術による中間[[色]]表現はAMスクリーニングと呼ばれます。近年では、インクジェットプリンタなどでは、AMスクリーニングとは異なるFMスクリーニングが用いられる場合があります。FMスクリーニングは、規則的な点の配置ではなく、ランダムなドットパターンを用いて中間[[色]]を表現するため、モアレの発生を抑えることができます。

まとめ

網点は、印刷における重要な技術であり、現在でも高品質な画像印刷に広く利用されています。その技術は、解像度、スクリーン角度、モアレ対策など、様々な要素が複雑に絡み合っています。デジタル技術の発展に伴い、デジタル網点やFMスクリーニングといった新しい技術も登場していますが、網点の原理は、印刷技術の基礎として今後も重要な役割を果たし続けるでしょう。

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