網走番外地

網走番外地

『網走番外地』（あばしりばんがいち）は、作家・伊藤一が自身の網走刑務所での服役経験をもとに書き上げた小説であり、同小説を原作とした映画作品群を指します。1956年に出版されたこの小説は、厳しい刑務所の内情や、そこで生きる人々の人間ドラマを描き、大きな反響を呼びました。

日活映画版 (1959年)

1959年には、日活によって初めて映画化されました。この作品では、小高雄二と浅丘ルリ子が主演を務め、原作の持つ重厚なテーマを映像で表現しました。初期の映画化作品として、後の東映によるシリーズ化への礎を築いたと言えるでしょう。

東映映画シリーズ (1965年 - 1972年)

1965年からは、東映が高倉健を主演に据え、映画シリーズとして『網走番外地』を制作しました。このシリーズは、1972年までに計18作品が制作され、高倉健の代表作として、また、日本の映画史に残る人気シリーズとして、広く知られています。

シリーズの特徴

東映版『網走番外地』シリーズは、高倉健演じる主人公が、様々な困難に立ち向かいながらも、不屈の精神で生き抜く姿を描いています。舞台は主に網走刑務所や北海道の厳しい自然環境であり、そこで繰り広げられる男たちの友情や裏切り、そして愛憎が、観る者の心を揺さぶります。

シリーズを通して、刑務所内の人間模様や、脱獄、抗争などが描かれ、アクションシーンも見どころの一つです。また、当時の社会情勢や、刑務所を取り巻く問題にも触れており、単なる娯楽作品としてだけでなく、社会派ドラマとしての側面も持ち合わせています。

音楽

主題歌『網走番外地』

1965年に制作された映画の主題歌もまた、『網走番外地』というタイトルで、伊藤一自身が作詞を手掛けました。作曲は山田栄一が担当しています。この曲は、一度は放送禁止指定を受けたにもかかわらず、その力強いメロディーと、主人公の心情を代弁するような歌詞が、多くの人々に支持され、広く歌い継がれています。

まとめ

『網走番外地』は、小説、映画、音楽と、様々な形で展開され、多くの人々に影響を与えた作品です。特に、高倉健主演の東映映画シリーズは、彼の代表作として、また、日本の映画史に残る名作として、今後も語り継がれていくことでしょう。伊藤一の体験に基づいたリアルな描写と、そこで生きる人々の人間ドラマは、時代を超えて、観る者の心を捉え続けます。

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