綴子大太鼓

綴子大太鼓：歴史と伝統が響き合う北秋田の民俗芸能

秋田県北秋田市綴子地区に伝わる「綴子大太鼓（つづれこおおだいこ）」は、国の選択無形民俗文化財に指定されている貴重な民俗芸能です。その起源は鎌倉時代に遡り、7月14日、15日に行われる綴子神社例祭で奉納されます。

雨乞いの祈りから始まった大太鼓

綴子地区は古くから水源に恵まれず、灌漑用水の不足に悩まされていました。そこで、雨乞いと日和上げの神事として、大太鼓の大きな音を雷鳴に見立て、雨を願う農民たちの切実な祈りを込めて打ち鳴らしたのが始まりとされています。

当初は小規模な太鼓でしたが、時代と共に大型化が進み、江戸時代には源氏と平氏になぞらえた上方と下方の二派に分かれて競争が激化。明治時代には、奉納の先陣争いが激化したため、昭和5年からは上町と下町が一年交代で行うようになりました。

巨大化する太鼓とギネス記録

行事が始まった頃の太鼓は直径70cm程度でしたが、時代を経て巨大化。現在では、上町と下町がそれぞれ複数の大太鼓を所有しています。

特に下町が所有する太鼓は、直径3.71mでギネス世界記録の認定を受けています。また、上町が所有する太鼓は直径3.80m、胴の長さ4.52m、重さ3.5tにも達し、その巨大さに圧倒されます。

大太鼓の胴材には天然秋田杉、皮面にはホルスタインの種雄牛が使用されています。かつては人力や牛馬で運搬されていましたが、現在ではトラクターが用いられています。

芸能構成：出陣行列、獅子踊、奴踊

綴子大太鼓の芸能構成は、出陣行列、獅子踊、奴踊、棒術の型、小太鼓曲打（上町のみ）から構成されます。

出陣行列

源氏と平氏の旗指物を持った陣取りごっこの名残で、江戸時代には徳川方と豊臣方に分かれて風流化が進みました。露払い太夫や野次払いを先頭に、団旗、豊年旗、陣旗、紋旗、大纏、小纏、侍、大鳥毛、小鳥毛、槍、弓矢、長刀、鷹匠、鉄砲などが続きます。

獅子踊

獅子は霊獣として崇められ、悪病を払い災禍を除く力を持つと信じられていました。上町は雄獅子と雌獅子の求愛、下町は親獅子が子獅子を探す様子を表現しています。

奴踊

豊作を祈って農家の生活や農作業の様子を踊りで表現したもので、「からみ」「簸出し」「楢葉」「水戸」「籾摺り」「米研ぎ」「下ふき」など、様々な種類の踊りがあります。

綴子大太鼓を体験する

綴子大太鼓は、綴子神社例祭のほか、大太鼓の館での実演や、秋田県内外のイベントで披露されています。大太鼓の館では、実際に大太鼓を見学したり、演奏を聴いたりすることができます。

主な公演

大太鼓たたき初め（大太鼓の館：1月2日）
これが秋田だ！食と芸能大祭典（秋田市：5月下旬）
ふるさと踊りともちっこまつり（鷹巣：6月第1日曜日）
北秋田市たかのす太鼓まつり（大太鼓の館：9月上旬）

綴子大太鼓は、北秋田市の歴史と文化を象徴する貴重な財産です。その迫力ある音色と勇壮な舞を、ぜひ一度体験してみてください。

もう一度検索