緊急配備

緊急配備（きんきゅうはいび）

緊急配備とは、日本において重大な事件が発生した際に、犯人の早期逮捕と迅速な捜査資料の収集を目的として、警察が広範囲に展開する警戒体制のことです。この体制は、警察官だけでなく、ヘリコプターや警備艇などの装備も動員し、陸・海・空が一体となった迅速な対応を可能にします。緊急配備は、しばしば「キンパイ」と略称されます。

緊急配備の種類

緊急配備には、事件の規模や性質に応じていくつかの種類が存在します。主な種類は以下の通りです。

1. 特別緊急配備：
- 犯人の早期検挙と徹底的な捜査資料の確保を目的とし、最大の警戒要員を投入して行われる配備です。重大事件や社会的に大きな影響を与える事件発生時に発令されます。

2. 広域緊急配備：
- 他の都道府県警察に協力を依頼して行う配備、または他の都道府県警察からの依頼に応じて行う配備です。犯人が複数の都道府県にまたがる可能性がある場合や、広範囲に捜査が必要な場合に実施されます。

3. 広域協定配備：
- 隣接する都道府県との間で事前に締結された広域協定に基づき行われる配備です。地域を跨いでの迅速な連携を可能にするために、予め取り決められた手順に従って実施されます。

緊急配備の種別

緊急配備は、実施範囲や対象に応じてさらに細かく分類されます。

1. 全体配備：
- 全ての警察署の管轄区域において同時に行われる配備です。広範囲に影響を与える可能性のある事件や、犯人の逃走経路が不明確な場合に実施されます。

2. キロ圏配備：
- 事件発生地点を中心とする指定された範囲内で行われる配備です。この配備は、単純な円形ではなく、事件の内容や地形などの地理的特性に応じて、アメーバ状に柔軟に変化します。例えば、「10キロ圏配備」が発令された場合でも、現場から10キロ以上離れた場所を重点的に警戒することもあれば、10キロ圏内であっても警戒が手薄になる場合もあります。事件の性質や犯人の行動パターンに合わせて、より効率的な配備が行われます。

3. 発生署配備：
- 事件が発生した場所を管轄する警察署の管轄区域内で行われる配備です。事件発生直後、迅速な初動捜査を行うために実施されます。

4. 指定署配備：
- 特定の警察署を指定して、その管轄区域内で行われる配備です。事件の捜査状況や、犯人の逃走方向など、特定の警察署の管轄区域内での捜査が必要になった場合に実施されます。

5. 高速道路配備：
- 高速道路上で行われる配備で、主に高速道路交通警察隊が担当します。高速道路を利用した犯人の逃走を阻止し、迅速な検挙を目指します。

6. 鉄道配備：
- 鉄道敷地内で行われる配備で、主に鉄道警察隊が担当します。駅構内や列車内での事件発生時や、鉄道を利用した犯人の逃走を警戒するために実施されます。

7. 広域要点配備：
- 主要な幹線道路において行われる配備です。犯人が車で逃走する可能性がある場合に、幹線道路を封鎖したり、検問を実施したりして、逃走を阻止するために実施されます。

関連事項

* 展開 (軍事)：軍事作戦における部隊の配置や移動を意味する言葉ですが、警察の緊急配備も一種の部隊展開と捉えることができます。効率的かつ迅速な配備が、事件解決の鍵となります。

緊急配備は、国民の安全と治安を守るために、迅速かつ柔軟に対応する警察の重要な活動の一つです。日々の訓練と地域との連携により、その有効性を高めています。

もう一度検索