総合馬術

総合馬術：馬術のトライアスロン

総合馬術は、馬術競技の中でも特に高度な技術と体力、そして馬との深い信頼関係を必要とする、魅力的な競技です。国際[[馬術連盟]]（FEI）の規定では、馬術の要素をほぼ全て盛り込んだ複合競技とされ、選手には多様な馬術競技経験と馬の能力への的確な理解が、馬には適切な調教による総合能力が求められます。オリンピックや世界選手権でも採用されるなど、世界的に高い人気を誇ります。

3日間にわたる激闘

競技は3日間かけて行われ、同一の人馬ペアが、それぞれ異なる3種目の競技に挑みます。初日は馬場[[馬術]]競技で、馬の正確性と騎手の技術が試されます。続く2日目は、クロスカントリー競技。起伏に富んだ自然のコースに設けられた様々な障害物を、馬の体力と勇気、そして騎手の卓越した技術で克服していきます。そして最終日となる3日目には、障害飛越競技が行われ、残された体力と技術で、正確かつ迅速に障害をクリアできるかが問われます。この3種目の合計減点が少ない方が優勝となります。

この特徴的な競技形式から、「3日競技（スリーデイイヴェント）」や、トライアスロンになぞらえて「馬術のトライアスロン」とも呼ばれています。特に2日目のクロスカントリー競技は、総合馬術の最大の特徴と言えるでしょう。平坦な馬場とは異なり、自然地形を生かした、起伏に富んだコースに設置された高度な障害物は、馬と騎手の能力を究極まで試します。

挑戦的なクロスカントリーコース

クロスカントリーコースには、「竹柵」「生垣」「池」「水濠」「乾壕」など、自然に近い地形を生かした多様な障害物が設置されます。「飛込み水濠」や「ダービー・バンケット」といった、高度な技術と勇気を必要とする障害もあり、コースによってはリスクを伴うショートカット（ダイレクトルート）と、安全を優先するロングルートが用意されているものもあります。世界レベルの大会では、コースの長さは6kmを超え、40個以上の障害物が設置されることも珍しくありません。

バランスの取れた総合力

馬場[[馬術]]と障害飛越は、単独の競技よりもレベルは若干低いものの、3種目をこなすためには、全ての競技でバランスの取れた高い技術と能力が求められます。また、3日目の競技開始前には、獣医師による馬体検査が行われ、競技続行の可否が判断されます。馬の健康状態を維持することは、選手とスタッフにとって非常に重要です。

世界と日本の総合馬術

ヨーロッパ諸国では盛んな総合馬術ですが、日本ではコース設定に適した場所が限られているため、一般にはあまり馴染みがありません。それでも、馬事公苑や三木ホースランドパークなどで観戦することができます。世界的な大会としては、イギリスのバドミントン馬術大会が有名で、毎年5月上旬から中旬にかけて開催され、三菱自動車工業がメインスポンサーを務めています。その規模は大きく、過去には25万人もの観客を動員した実績もあります。

競技レベル

総合馬術の競技レベルは「スター」で表され、4（フォースター）、3（スリースター）、2（ツー スター）、1（ワンスター）の4段階があります。オリンピックや世界選手権は、最高レベルであるフォースターで行われ、全日本選手権はスリースターで行われています。それぞれのレベルに応じた技術と体力、そして馬との信頼関係が求められ、世界中のトップ選手たちがしのぎを削る、まさに究極の馬術競技と言えるでしょう。

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