総持寺納骨堂爆破事件

總持寺納骨堂爆破事件

1972年4月6日に神奈川県横浜市にある總持寺の納骨堂「常照殿」で発生した爆弾テロ事件。実行したのは、後に東アジア反日武装戦線と名乗るグループである。

事件の背景

事件の背景には、日本統治時代の朝鮮半島における歴史が深く関わっている。

標的となった總持寺常照殿には、日本統治時代の朝鮮に居住していた日本人約5000人の遺骨が安置されていた。これらの遺骨は元々、京城府内の墓地に埋葬されていたが、無縁仏となった後、当時のソウル特別市長であった金玄玉の計らいにより、1970年にソウルの市民墓地に納骨堂が建設され、そこに納められた。

しかし、この納骨堂に対し、反日テロが相次いで発生。翌1971年8月15日には、ついに破壊されるに至った。これにより、納骨されていた遺骨はやむなく日本に返還され、曹洞宗大本山である總持寺が預かることになった。

事件の概要

東アジア反日武装戦線は、これらの遺骨を「侵略者の骨」とみなし、「朝鮮人民の抗議運動」に呼応するため、納骨堂を爆破することを計画した。

当初、決行日は三・一独立運動に因んで3月1日に設定された。しかし、下見の際にメンバーの一人が寺の職員に顔を見られたことから、グループ内で意見が分かれることになった。一部メンバーは、大事をとって延期すべきだと主張したが、他の一部メンバーは、予定通り決行すべきだと主張した。さらに、後者のグループ内で再度仲間割れが発生し、グループそのものが消滅。結局、3月1日の決行は中止となった。

その後、延期を主張していたグループが準備を進め、4月6日に墓石に偽装した消火器爆弾を爆破させた。爆弾は地面に大きな穴をあけ、大きな音を響かせたものの、納骨堂の大破には至らなかった。

事件の影響

この事件は、当時の社会に大きな衝撃を与え、新左翼運動や反日感情に影響を与えた。

東アジア反日武装戦線は、この事件以降も連続企業爆破事件など、様々なテロ事件を起こし、社会を震撼させた。

参考文献

名越二荒之助 編著『日韓2000年の真実 写真400枚が語る両国民へのメッセージ』（国際企画、1997年） ISBN 4-916029-12-7
松下竜一『狼煙を見よ 東アジア反日武装戦線“狼”部隊』
（読売新聞社・戦後ニッポンを読む、1997年） ISBN 4-643-97116-9
（河出書房新社・松下竜一その仕事22、2000年） ISBN 4-309-62072-8

関連項目

日本の新左翼
日本統治時代の朝鮮

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