緑色火星人

緑色火星人

緑色火星人（りょくしょくかせいじん）は、アメリカの著名な小説家エドガー・ライス・バローズによって創造された、SF小説『火星のプリンセス』をはじめとする火星シリーズに登場する架空の火星人です。この種族は、緑色の肌、六肢、そして独特な容姿を持つ巨人として描かれています。成人男性は約5メートル、女性は約4メートルの身長を誇り、その奇妙な外観は他の火星住民と一線を画しています。

特徴と生態

緑色火星人は、火星人の中でも特に珍しい存在です。他の火星人種族との比較が興味深く、主に「5大種族」と呼ばれる5つの種族（緑色、赤色、白色、黒色、黄色）から成り立っています。これらの種族は、現生種族か古代種族かの点で分類されます。白色、黒色、黄色の3種族は今では絶滅し、赤色人がその混血として存在するだけでなく、緑色火星人もまた古代から存続しているとされています。

しかし、緑色火星人はその外観が大きく異なります。彼らの顔は地球の人間とは異なり、特徴的な牙や突き出た目を持ち、鼻は縦に切れ目が入っているのが特徴です。また、体毛がなく、さらには長生きする傾向もあり、最大で1000年近く生きることができると言われています。火星人は卵生で、出生する際には1メートル以上の大きさで生まれ、成長とともに肌の色が濃くなります。

社会と親子関係

緑色火星人の社会では、親子の関係が希薄である点も特筆すべきです。卵は特定の施設へ集められ、無作為に養子が選ばれる仕組みが取られています。このため、実の親子であることを知る者は少なく、特に養母との関係が強調されます。このような社会制度は、敵対部族に対する防御策としても機能します。卵生でありながらも、彼らは思春期を迎えるのに約40年を要し、その間に老衰の兆候が現れません。

戦士としての教育

幼少期には、男子は戦士としての教育を受け、剣技や銃の扱い、また特異な火星馬「ソート」を乗りこなす技術を学んでいきます。緑色火星人社会は好戦的で、敵対部族との戦闘が日常茶飯事となっており、彼らの女性たちも医術において優れた技術を持っています。興味深いことに、緑色火星人独特のユーモアセンスは、他の種族とは大きく異なり、彼らが笑うのは相手を討つ瞬間だけだとされています。

ケンタウロス形態

興味深い点として、緑色火星人には「ケンタウロス形態」と呼ばれる長距離移動のスタイルも存在します。彼らは長距離移動の際に4つ足に変形することができる独特の六肢を持ち、この形態により効率的に移動することができます。

緑色火星人の位置付け

火星シリーズにおける緑色火星人は、シリーズ初期において重要な役割を果たしましたが、赤色人の登場以降は彼らの存在感が薄れ、物語の中心からは外れていきました。とはいえ、彼らは火星生物として独自の魅力と奥深さを持つ存在であり、バローズの作品群において特異な位置付けを有しています。彼らの持つ特徴や独特の生態は、SF小説の中で他に類を見ない魅力を放っています。

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