總願寺

総願寺 (そうがんじ)

総願寺は埼玉県加須市に所在する真言宗智山派の寺院であり、山号は玉嶹山（ぎょくとうさん）です。本尊には智証大師が作ったとされる不動明王が祀られています。この寺院は関東の三十六不動霊場の一つとして知られ、特に開運や商売繁盛、火防にご利益があるとされています。総願寺は、不動ヶ岡不動尊とも呼ばれ、成田山新勝寺や高幡不動尊と並び称される関東三大不動の一つとされています。

歴史

総願寺の歴史は仁和2年（886年）に遡ります。この年、当時の天皇である光孝天皇が重病に苦しんでいた際、智証大師に不動明王への祈願を命じ、天皇はその結果として回復を果たしました。その後、天皇は大師に不動明王の像を作成させ、初冬には紫宸殿に安置されました。以来、不動明王は歴代天皇の守護仏として崇められてきました。

ある日、殿上人が不動明王の剣を盗もうとした際、堂守の夢に不動明王が現れ、その事件を告げました。堂守は像を背負い、故郷の武州吉見領へ逃れ、そこで仮の堂を建てて像を安置しました。長暦3年（1039年）の洪水によって、この像は流失しましたが、武州羽生領岡古井村に漂着し、村人によって拾い上げられました。その瞬間、地震が発生し、村人は不動明王の怒りを感じ、像を再び河に流しました。

数日後、再び利根川の中洲で不動明王像が発見され、村人たちはお堂を建ててその像を安置しました。その後、岡村は不動岡村へと改名され、不動信仰がますます盛んになっていきました。元和2年（1616年）には総願上人によって現在の寺院が開基されましたが、1771年12月14日の火災によって本堂や客殿などが焼失しました。1839年には新たに本堂が建立され、1890年には仁王門が信徒の寄付によって再建されました。

境内の紹介

総願寺の境内には、山門（仁王門）をくぐると右手に赤門、左手に黒門、そして観音堂が見えます。さらに進むと不動堂に到達し、そこには大日堂（本殿）や客殿が併設されています。また、境内には参籠堂や庫裏もあります。

不動堂は入母屋造りで、屋根は銅板葺きです。サイズは桁行五間、梁間五間におよびます。大日堂は本尊である不動明王が祀られており、76cmほどの長さの倶利伽羅不動剣が銅で制作されています。善業を求める信者たちは、籠堂で降魔怨敵衆病退散や安産を願い、参籠や通夜を行います。

文化財と行事

総願寺は、加須市の文化財に指定された黒門や、徳川吉宗の時代の奉納品である「倶利迦羅不動剣」など、さまざまな文化財も所蔵しています。また、毎年「節分会・鬼追い豆まき式」や秋の「柴燈護摩火渡り式」など多くの行事が行われており、特に節分会には数万人が訪れ、消防音楽隊の演奏や鬼追い豆まきが大いに賑わうイベントとなっています。

アクセス

総願寺へのアクセスは、東武伊勢崎線加須駅から徒歩で約25分、朝日バスを利用することも可能です。また、東北自動車道の加須インターチェンジからも約15分の距離です。総願寺は地元の人々から愛され、多くの信者が集う場所として、今もその神聖さを保っています。

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