殿上人

殿上人について

殿上人（てんじょうびと）とは、9世紀以降、日本の朝廷において特定の権限を持った人々を指します。具体的には、天皇の日常生活が行われる清涼殿の殿上間に登ることが許された者の中から、公卿を除く四位以下の者たちが当てはまります。日本の古代制度における重要な位置付けを持つ彼らについて詳しく見ていきましょう。

殿上人の定義

殿上人は、一般的に三位以上の者は全て昇殿が認められるため、その中から四位・五位の一部を除いた人々を指します。また、時には蔵人を除外して殿上人を定義することもあります。これに対し、殿上人に昇殿を許されない者は「地下」（じげ）と呼ばれ、両者の間には明確な差異があります。

残りの階級との関係

そんな中、殿上人は蔵人とともに、日給簡（殿上簡、仙籍）に登録され、蔵人頭の管理下で、交替で天皇に仕える役割を担いました。昇殿の制度が始まった当初は、六位の殿上人も数名存在しましたが、次第に主要な対象は四位・五位の者に限られていきました。一方で、蔵人は六位の者からも任命されることがあり、その組織構成には柔軟性が見られました。

院や東宮との関連性

昇殿制度は、院や東宮にも適用され、昇殿を許された者は「院殿上人」などと呼ばれました。特に内裏の殿上人は「内の殿上人」と区別され、両者の間に明確な役割分担が存在しました。これは古代日本における政治的な権力構造を象徴しているとも言えるでしょう。

昇殿の仕組み

昇殿を許されるのは、天皇、院、東宮の一代に限られています。次代が即位すると、前代の殿上人は昇殿の権利を失い、再度の許可を得るためには新たに勅許を受けなければなりません。この制度は、殿上人自身が昇格した場合も同様で、宣旨をもって再度の許可を求める必要があります。

参考文献

このような制度については、いくつかの研究が存在します。橋本義彦の「昇殿」や黒板伸夫の「殿上人」といった文献を参考にすることで、古代日本の朝廷制度の詳細をより深く理解することができます。これらの文献は、それぞれ『国史大辞典』や『日本大百科全書』といった信頼性の高い書籍です。

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