繆大亨

繆大亨（ぼく たいきょう/びゅう たいきょう、生没年不詳）は、元末に活躍した軍人です。現在の安徽省定遠県出身で、当初は元の義兵軍を率いていました。その後の動乱期において、彼は朱元璋の勢力拡大に大きく貢献することになります。

朱元璋への帰順

1354年、繆大亨は濠州を攻撃するも敗北し、張知院と共に横澗山に籠ります。朱元璋は花雲に命じて夜襲を仕掛け、繆大亨は一時敗走を余儀なくされます。しかし、彼は散り散りになった兵を再び集結させ、迎撃の態勢を整えました。この状況に対し、朱元璋は繆大亨の叔父である繆貞を派遣し、説得を試みます。繆貞の粘り強い説得により、繆大亨は朱元璋に降伏することを決意しました。

朱元璋軍での活躍

朱元璋軍に加わった繆大亨は、その後の数々の戦いで目覚ましい功績を上げ、元帥に抜擢されます。1357年には揚州攻略戦で青軍元帥の張明鑒を降伏させました。この戦いの前、繆大亨は朱元璋に対し、「敵は飢餓に苦しみ、食糧を求めて略奪に走るでしょう。彼らの勇猛さを味方に加えるべきです」と進言しています。朱元璋はこの進言を受け入れ、繆大亨に速やかな攻撃を命じました。その結果、張明鑒を降伏させ、数万の兵と2千余りの軍馬を獲得することに成功。さらに、降伏した将校の妻子を応天府へ送りました。

1360年、淮海翼元帥府が江南分枢密院に改められると、繆大亨は同僉枢密院事に任命され、揚州と鎮江を統括するようになります。彼はその統治において善政を行い、民衆から大いに歓迎されました。

人物像と死

繆大亨は、治世の才能に長け、寛大で温厚な人柄であったと伝えられています。彼が率いる軍は規律正しく、略奪や暴行を厳しく禁じたため、民衆からの信頼は非常に厚いものでした。朱元璋は鎮江を訪れた際、「繆将軍は生前、行いが正しく、間違いを犯すことはなかった。その早すぎる死が惜しまれる」と嘆き、繆大亨の墓を祭らせました。繆大亨は1363年に亡くなりましたが、その功績と人柄は、後世にも語り継がれています。

参考資料

• - 『明史』巻1 本紀第1 太祖1
• - 『明史』巻134 列伝第22 繆大亨
• - 『明史紀事本末』巻1 太祖起兵
• - 『明史紀事本末』巻2 平定東南
• - 『続資治通鑑』巻第211
• - 『続資治通鑑』巻第214
• - 『続資治通鑑』巻第215

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