定遠県

定遠県（ていえん-けん）

定遠県は、中華人民共和国安徽省滁州市に位置する県です。その歴史は古く、秦代にまで遡ることができます。

歴史

紀元前221年、秦朝によって九江郡の下に陰陵県（現在の靠山郷古城村）と東城県（大橋鎮三官集）が設置されたのが、定遠県の歴史の始まりです。漢の時代には、県域の一部が曲陽侯国の管轄に移されました。その後、新の時代に一時的に県名が変更されましたが、後漢になると元の名称に戻され、延平亭は西曲陽県となりました。

72年（永平15年）、東城県は徐州所管の下邳国に改編されました。三国時代には東城・陰陵の2県が淮南郡に属し、晋代にもその状態が引き継がれました。

南北朝時代に入ると、江淮地区は南朝と北朝の勢力が激しく入れ替わる場所となり、行政区画も頻繁に変更されました。東城県は当初南朝宋に帰属しましたが、後に北魏の版図に組み込まれました。南朝斉の時代には県域に馬丘郡が設置され、南朝梁の524年（普通5年）には西曲陽・陰陵・東城の3県が統合されて定遠郡が設置され、その下に定遠県が置かれました。540年（大同6年）には安州が新設され、定遠・臨濠の2郡を管轄するようになりました。その後、定遠地区は北朝の支配を経て、573年（太建5年）に南朝陳によって再び南朝の支配下に戻りました。

北朝では、北魏から東魏にかけて県域に西沛郡が設置され、蕭県・沛県・平陽県の3県を管轄しました。また、北斉では広安郡が設置され、579年（大象元年）には北周の版図となりました。

602年（仁寿元年）、隋朝は広安郡を臨濠県と改称し、濠州（後に鍾離郡と改編）の管轄としました。620年（武徳3年）、鍾離郡臨濠県は濠州定遠県と改編され、貞観年間以降は淮南道に属しました。五代十国時代から宋代にかけても、その状態が踏襲されました。

元初には濠州の管轄とされましたが、1278年（至元15年）に臨淮府と改称され、1291年（至元28年）には河南江北行省安豊路濠州の管轄となりました。明朝が成立すると、1380年（洪武13年）に鳳陽府の管轄、1403年（永楽元年）に南京鳳陽府の管轄となりました。清初は江南行省に属しましたが、1667年（康熙6年）に安徽省鳳潁六泗道鳳陽府の管轄となりました。

中華民国が成立すると安徽省定遠県が設置され、中華人民共和国成立後もその状態が踏襲されました。

1949年1月18日、中国共産党の実効支配下に置かれた定遠県は江淮第一分区の管轄とされ、同年4月21日に皖北行署滁県専区、1956年1月蚌埠専区、1961年4月に滁県専区（1973年以降は滁県地区）の管轄となりました。1992年12月に地級市の滁州市が成立するとその管轄となり、現在に至っています。

行政区画

定遠県は、以下の鎮、郷、民族郷によって構成されています。

鎮：定城鎮、炉橋鎮、永康鎮、呉圩鎮、朱湾鎮、張橋鎮、藕塘鎮、池河鎮、連江鎮、界牌集鎮、倉鎮、三和集鎮、西卅店鎮、桑澗鎮、蒋集鎮、大橋鎮
郷：厳橋郷、払暁郷、能仁郷、七里塘郷、范崗郷
* 民族郷：二竜回族郷

このように、定遠県は長い歴史の中で行政区画の変遷を繰り返し、現在に至っています。

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