織田楢次

織田 楢次（おだ ならじ）の生涯

織田楢次（おだ ならじ、1908年 - 1980年）は、朝鮮での伝道活動を通じて多くの人々に影響を与えた日本の牧師である。その後、彼は田永福と改名した。彼の生涯は、逆境を乗り越え、信仰心を持って他者を助ける姿勢に彩られている。

幼少期から青年期

1908年、大阪にて土建業を営む家庭に生まれた楢次は、兵庫県の芦屋で育った。生後1歳で母を失い、11歳の時には父も亡くなってしまう。彼は寺で修行することになり、この厳しい環境の中で成長を遂げた。1925年に旧制中学を卒業したのち、17歳で寺を離れ、神戸を放浪する生活を始める。

その後、路傍伝道をしていた一団に出会い、堀内文一牧師の教会に身を寄せることになった。堀内牧師から洗礼を受け、牧師になるよう勧められたことが、彼の信仰の道を開く大きなきっかけとなった。1926年には聖書学舎（現在の関西聖書神学校）に入学し、神への道へと進んでいく。

朝鮮での伝道活動

1928年、兵役検査を受け、甲種合格となったが、くじ引きにより丙種補充兵に決まった。その後、日本の反対を押し切り、単身で朝鮮に向かう。木浦に到着し、日本基督教会の田中義一牧師のもとで伝道活動を学ぶ。田中牧師による感化で、彼は「強盗の一人」として朝鮮人に罪を悔い改めることができるのかという問いを持ち、朝鮮人としての生き方を選択する決意を固める。

光州市から京城へ徒歩で移動し、朝鮮語を学びながら伝道を続けたが、スパイと誤解され、追放される。さらに炭鉱夫として生活しながらも、希望を持って伝道を行った。1931年には茂山で逮捕され、拷問を受けるという苦痛の中でも、信仰を貫く姿勢を見せた。

教会での活動と逆境

彼は1932年、日本ホーリネス教会と関係のある朝鮮聖潔教会に参加。1934年には東洋宣教会聖書学院を卒業し、自らが開拓した天然洞教会の牧師となった。

1935年には日本に帰国し、ホーリネス教会の年会において朝鮮伝道の唯一の代表として紹介された。翌年、平壌で神社参拝についての講演を行い、日本の警察に逮捕される。この事件を通じて、彼は信仰を守るための困難な選択を強いられた。その後も警察による妨害により、希望する朝鮮伝道が難しくなってしまう。

戦後の活動

1939年、日本神学校（現・東京神学大学）に入学し、1941年に卒業。その後、三河島教会で牧師を務め、1944年には朝鮮伝道の15周年記念会を開催した。1945年の終戦後には在日朝鮮人教会の要請で福岡教会の牧師となり、引揚者の援護活動に尽力した。

彼は1949年から在日大韓基督教会で牧会を行い、1970年に名誉牧師となり余生を送りました。そして1980年、心不全にてこの世を去った。彼の生涯は、数々の困難にもかかわらず、信仰を貫き通した姿が人々に深い感動を与え続けている。

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