繭(まゆ)とは
繭(まゆ)は、
動物が活動を停止したり、活動が鈍化した際にその身体を包み保護するための構造物です。この覆いは、
動物自身が分泌した物質や体外の素材から作られることが多く、繭は一種の保護具として機能します。
繭の具体例:昆虫の繭
繭は主に
昆虫、特に
ガ類の
幼虫によって作られることが一般的です。
ガの
幼虫は、
蛹化の過程で糸を吐き、これを組み合わせて袋状の構造を作り、その中で
蛹になります。また、カイコの繭は特に知られたもので、絹糸の原料として重要です。
昆虫の一部には、繭を形成するために糸を出す以外にも、
幼虫が周囲の物質を使って繭を作る場合もあります。例えば、カブトムシの一部は泥を固めて自らのまわりに
蛹室を作ることがあります。その他、
ハエ類の
幼虫は、
幼虫の皮膚内部で
蛹になり、その皮膚が
蛹を包み込む構造を取ることがあります。
繭の多様性
繭の形態は非常に多様で、基本的には袋状ですが、種によって異なる特徴を持っています。ウスタビ
ガの繭は垂れ下がって形が異なり、
クスサンは糸が網目状になり、そのため別名を網目のような形状で「スカシダワラ」と呼ばれることもあります。
カイコの繭はその名前が特に知られていて、終齢
幼虫は小さな仕切りのある器に置かれ、それぞれの
幼虫が繭を完成させます。10日から15日で羽化し、成虫が繭から出ると同時に糸が切れてしまいます。そのため、絹糸を得るには、
蛹の状態で繭を殺す必要があります。1個の繭は通常1匹のカイコによって作られますが、稀に2匹で作られ、こうしたものを玉繭と呼びます。
脊椎動物における繭
繭は
昆虫以外の
動物にも見られます。特に、
魚類や両生類の水生生物では、卵を包む構造が存在します。
ハイギョでは、乾燥から身を守るために、周囲の砂を粘液で固めた繭を作る例が見られます。
また、
カエルや
サンショウウオの卵塊は、通常は「繭」と呼ばれませんが、クロ
サンショウウオの卵は白く、楕円形をしていて、見た目がカイコの繭に似ています。
軟体動物における繭
マダコなどの軟体
動物の卵塊周囲にも
寒天質の繭が見られます。このように、繭は多種多様な
動物によって、異なる用途や形で存在しています。
文化的側面
日本において、繭という言葉は多くの場合カイコの繭を指します。豊作を願って作られた白い玉「繭玉」は、神社などで縁起物として用いられています。
関連項目
- - コクーン
- - モード学園コクーンタワー:蛹化中の繭をモチーフにした高層ビル