繰延資産

繰延資産について

繰延資産（くりのべしさん）とは、会計の専門用語で、将来にわたって効果を発揮すると考えられる特定の費用を指します。このような費用は通常、支払いが完了し、必要なサービスや便益を受けたにもかかわらず、将来的に多くの利益をもたらすことが期待されています。こうした理由から、繰延資産は一時的に資産として認識されます。ただし、繰延資産は換金性のない費用性資産ですので、流動資産や固定資産とは区別され、貸借対照表において独立した部門に記載されます。

繰延資産の定義

繰延資産とは、すでに支払った費用で、将来の利益に結びつく可能性があるものです。この概念は、企業の会計原則では「将来の期間に影響する特定の費用」として定義されています。要するに、これはすでに支払ったにもかかわらず、効果が将来的に現れると期待される費用です。この状況では、企業は経過的にこれを資産として計上できるのです。

繰延資産の一例としては、前払費用が挙げられますが、この前払費用はまだサービスの提供を受けていない状態であるため、繰延資産とは異なります。また、繰延税金資産があることも注目すべき点です。これは将来の税金の減少という形で現金化が可能な貨幣性資産であり、通常の繰延資産と性質が異なります。

現行法における取り扱い

2005年の商法改正により、繰延資産の扱いは新たな会社法に基づいて進化しました。この改正により、繰延資産は特定の項目が限定列挙されることなく、企業が会計慣行に従って計上することが許可されました。2006年の企業会計基準委員会の発表によれば、株式交付費、社債発行費、創立費、開業費、開発費の5つが繰延資産として認定されています。

旧商法では、繰延資産として作成される項目は創立費や研究費などの8つに限られ、これらは任意で計上されるものであり、資産計上も自由でした。また、計上した場合には、最長で5年の期間で償却される必要があります。この背景には、債権者を保護するために財産性のある資産のみを許可するという商法の伝統があります。

税法における取り扱い

税法において繰延資産は、個人事業者や企業が支出する費用で、効果が1年以上続くもので構成されています。税法では、会計上の繰延資産と税法独自の繰延資産が存在し、最初の5つのカテゴリーが再確認されていますが、税法ではこの他にも、公益に関連する費用や役務の権利金、広告用資産の贈与などが税務上の繰延資産に含まれます。この税法上の繰延資産は原則として定められた償却期間で償却されますが、特例として20万円未満の費用は支出時に費用として計上されることも可能です。

結論

繰延資産は企業の財務状況を評価する上で非常に重要な項目です。企業が将来の利益を享受するために、どのような支出が必要かを正確に把握することで、経営判断を支えるデータを提供します。今後もこの概念についての理解を深めることが、企業運営における健全な財務管理に寄与するでしょう。

もう一度検索