羊蹄丸 (初代)

羊蹄丸（ようていまる）について

羊蹄丸は、日本国有鉄道が青函航路で運航していた車載客船の一つです。この船は、青函連絡船復興の目的で、運輸省鉄道総局がGHQの許可を受けて建造された洞爺丸型の第2船として位置づけられています。同型の船には、洞爺丸、摩周丸（初代）、大雪丸（初代）があります。

建造の背景

第二次世界大戦後の1945年7月、アメリカ軍による空襲で青函連絡船は壊滅的な打撃を受け、その後、青函航路における輸送手段が厳しく制限されました。終戦時には第七青函丸や第八青函丸、旧関釜連絡船の樺太丸の3隻のみが稼働していましたが、戦後直後から引揚げ者や物資の需要が増加し、青函航路は極めて混乱した状況にありました。これを受けて1946年には、新しい車載客船の建造が決定され、羊蹄丸を含む4隻の建造が許可されました。

船の設計と特徴

羊蹄丸は1924年に建造された翔鳳丸型が基本となっていますが、設計は戦時中の標準船の設計図を一部修整したもので、平時仕様の二重底とされています。この船の全長は118.7m、総トン数は約3,800トンで、旅客定員は新造時934名とされていました。舷側には広い窓が設けられ、3等船室も用意されましたが、車両甲板の構造に工夫がなされ、輸送能力はワム換算で18両に設計されました。

運航の歴史

1948年4月9日に竣工した羊蹄丸は、同年5月1日から青函連絡船として本格的に運航を開始しました。1954年には洞爺丸台風が襲来し、船長の慎重な判断により、危険な航海を回避することができました。この判断が後の事故を未然に防ぎ、羊蹄丸は長期間の運航を続けることになります。

改良と安全対策

1956年以降、羊蹄丸では様々な安全対策が講じられました。船足の水密扉が設置され、船体には新たな救命設備や防水設備が追加されました。また、1961年には電動油圧式の船尾水密扉が導入されるなど、船の安全性が向上しました。

終航と売却

羊蹄丸は1965年6月20日に最終便を運航し、その後、三菱商事に売却され、下関へ移送されました。船の利用は長きにわたり、多くの乗客を北海道と本州とを繋ぐ重要な存在として支え続けました。今でも羊蹄丸は青函航路の歴史において重要な役割を果たした船として記憶されています。

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