羊飼い衛星

羊飼い衛星とは

羊飼い衛星（shepherd moon）とは、惑星の環の近くに位置し、その重力によって環の粒子を制御し、環の拡散や崩壊を防ぐ役割を持つ衛星のことです。環の粒子は、惑星の重力や他の粒子の影響を受けて、軌道が不安定になりやすく、放置すると環が拡散したり、惑星に落下したりしてしまいます。しかし、羊飼い衛星の重力によって、環の粒子は一定の範囲内に留められ、安定した環が維持されるのです。

羊飼い衛星の特徴

羊飼い衛星は、その性質上、環の外縁や環の中に存在する隙間（空隙）の近くに位置しているのが特徴です。これらの衛星は、環の粒子に対して内側または外側から重力的な影響を与え、粒子を環の中に閉じ込めるように作用します。この働きにより、環は安定した状態を保つことができるのです。

太陽系内の羊飼い衛星

太陽系では、土星、天王星、海王星において羊飼い衛星が確認されています。これらの衛星は、それぞれの惑星の環の維持に重要な役割を果たしています。

土星の羊飼い衛星

土星には、多くの環が存在し、複数の羊飼い衛星が確認されています。代表的なものとして以下の衛星が挙げられます。

パン: エンケの間隙に位置する羊飼い衛星。
ダフニス: キーラーの空隙に位置する羊飼い衛星。
アトラス: A環の外側に位置する羊飼い衛星。
プロメテウス: F環の内側に位置する羊飼い衛星。
パンドラ: F環の外側に位置する羊飼い衛星。

また、F環の付近には、以下の衛星か環の一部か判別が難しい天体が存在します。

S/2004 S 6|S_2004 S 6: F環内側の羊飼い衛星候補
S/2004 S 4|S_2004 S 4: F環内側の羊飼い衛星候補
S/2004 S 3|S_2004 S 3: F環外側の羊飼い衛星候補

これらの衛星は、F環の構造を維持するために重要な役割を果たしていると考えられています。

天王星の羊飼い衛星

天王星には、ε環という環があり、その安定に寄与していると考えられている羊飼い衛星が以下の2つです。

コーディリア
オフィーリア

これらの衛星は、重力相互作用によってε環の粒子を制御し、環の安定性を保っていると考えられています。

海王星の羊飼い衛星

海王星には、アダムズ環という環があり、以下の羊飼い衛星が確認されています。

ガラテア

ガラテアは、アダムズ環のすぐ外側を公転しており、その重力によってアダムズ環を安定させていると考えられています。

太陽系外の羊飼い惑星

太陽系外では、フォーマルハウトという恒星の周りに、羊飼い惑星の存在が推測されています。これは、環状の塵が観測されており、その構造を維持するために、惑星の重力が関与していると考えられているためです。

関連項目

土星の衛星
土星の環
天王星の衛星
天王星の環
海王星の衛星
* 海王星の環

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