美しき魂の告白

美しき魂の告白〜ベスト・オブ・デヴィッド・ボウイ2

『美しき魂の告白〜ベスト・オブ・デヴィッド・ボウイ2』（原題: "Changestwobowie"）は、1981年に世に送り出されたデヴィッド・ボウイの重要なベスト・アルバムの一つです。この作品は、1976年に先行して発売されたベスト・アルバム『魅せられし変容〜ベスト・オブ・デヴィッド・ボウイ』（"Changesonebowie"）に続く、「Changes」と冠されたシリーズの第二弾として位置づけられています。前作がボウイの初期から中期にかけての代表曲を網羅していたのに対し、本作ではそれ以降、特に1970年代後半から1980年までの楽曲を中心に、前作とは一切重複しない選曲がなされている点が大きな特徴です。

収録内容と選曲

このアルバムに収録されているのは、1971年から1980年の約10年間に発表された作品群から厳選された10曲です。デヴィッド・ボウイのキャリアの中でも特に実験的で多様なサウンドを生み出していたこの時期の楽曲を通じ、彼の絶え間ない音楽性の探求と変化を垣間見ることができます。前作と選曲が重複しないように配慮されたことで、ファンは両方のアルバムを聴き比べることで、ボウイの多岐にわたる活動の軌跡をより深く理解することができるようになっています。

特筆すべき収録曲

収録曲の中でも特に注目されるのが、「ジョン、アイム・オンリー・ダンシング（アゲイン）」"John, I’m Only Dancing (Again)" です。これは、1972年にシングルとして発表された同名楽曲のセルフリメイクバージョンにあたります。このバージョンは、アルバム『ヤング・アメリカンズ』の制作が進められていた1974年の録音であり、当時のボウイが傾倒していたフィラデルフィア・ソウルやファンクの要素が色濃く反映されています。オリジナル版のグラムロック的なサウンドとは異なり、グルーヴィーで洗練されたアレンジが施されているのが特徴です。この音源は、ボウイにとって初めての12インチシングルとして、アルバムに先駆けること約2年前の1979年12月7日にリリースされました。ベスト盤に収録されるにあたり、改めてその存在が広く知られることとなりました。

また、「アッシュズ・トゥ・アッシュズ」"Ashes to Ashes"、「ファッション」"Fashion"、「D.J."」といったヒット曲に関しては、オリジナル・アルバムに収録されているバージョンではなく、ラジオなどで使用されたシングル・エディット、つまりアルバムバージョンよりも演奏時間が短い編集版が収められています。これにより、当時のシングルとして親しまれた形で楽曲を楽しむことができます。

アルバムとシングルカット

このアルバムのリリースに合わせて、収録曲である「野性の息吹き（ワイルド・イズ・ザ・ウィンド）」"Wild Is the Wind" がシングルカットされました。この楽曲は、シンガーソングライターのディミトリ・ティオムキンとネッド・ワシントンによって書かれ、ニーナ・シモンなどのカバーでも知られるジャズ・スタンダードであり、ボウイはアルバム『ステイション・トゥ・ステイション』（1976年）でカバーしています。今回のシングルカットにあたり、新たなプロモーションビデオも制作され、アルバムのプロモーションに一役買いました。

商業的な成果と再発売

『美しき魂の告白〜ベスト・オブ・デヴィッド・ボウイ2』は、発表当時、イギリスのアルバムチャートで最高24位、アメリカでは68位を記録しました。前作ほどの商業的成功とはなりませんでしたが、それでも多くのファンに聴かれました。そして、2018年には、レコード、CD、そしてデジタル形式といった様々なメディアでリイシュー（再発売）され、新たな世代のリスナーにも届けられています。このリイシューにより、ボウイの豊かな音楽遺産が再び脚光を浴びることとなりました。

このベスト・アルバムは、デヴィッド・ボウイの1970年代後半における多様な音楽的探求の一端を知る上で、今なお価値のある一枚と言えるでしょう。

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