美添泰人

美添泰人（よしぞえ　やすと）氏は、1946年6月3日生まれの日本の統計学者・経済学者です。青山学院大学の名誉教授であり、統計科学、経済統計学、情報科学を専門としています。特に、ロバスト統計理論、2項回帰モデル、官庁統計の理論と実際、ベイズ理論、意思決定論などの分野で、その深い知識と卓越した研究業績で知られています。

美添氏は、東京大学経済学部経済学科を1969年に卒業後、同大学院経済学研究科博士課程を1975年に修了しました。その後、ハーバード大学大学院に進み、1978年に修了（Ph.D.取得は1987年）しています。その間、立正大学経済学部で講師、助教授、教授を歴任し、カーネギーメロン大学統計学部教授、シンガポール国立大学講師などの海外での研究・教育経験も豊富です。1992年からは青山学院大学経済学部の教授を務め、2015年に退任しました。

学外での活動も非常に活発で、日本統計学会理事長（1994-1996年）、経済企画庁経済研究所（現内閣府経済社会総合研究所）客員主任研究官（1999-2002年）、総務省統計研修所客員教授（2004-2008年）、統計審議会委員（会長）（2005-2007年）、統計委員会委員（2007-2009年）、日本統計学会会長（2009-2011年）などを歴任しています。

美添氏の研究は、統計学の理論的発展に大きく貢献しているだけでなく、経済統計や政策立案にも重要な示唆を与えています。特にロバスト統計理論に関する研究は、外れ値の影響を受けにくい統計分析手法の開発に貢献し、より信頼性の高い統計分析を可能にしました。また、2項回帰モデルや官庁統計に関する研究は、実務における統計分析の質を高める上で重要な役割を果たしています。

著書としては、『経済統計入門』（東京大学出版会、1983年、共著、第2版1992年）や『統計入門』（東京大学出版会、1984年、共著）などがあり、多くの学生や研究者にとって有益な教科書となっています。論文としては、「統計改革の残された課題」（『社会・経済の統計科学（21世紀の統計科学 第1巻）』、東京大学出版会、2008年）、「複数の計量値をもつ調査のための最適配分」（『日本統計学会誌』第32巻、2002年）、「小地域統計の推定手法と応用」（『経済研究』第52巻、2001年）などがあり、これらの論文は、統計学の発展に大きく貢献しています。また、海外の研究者との共同研究も積極的に行っており、国際的な視点からの統計研究の発展にも尽力しています。

美添氏は、その専門知識を活かし、フジテレビの人気番組「トリビアの泉」に統計学者として出演したこともあり、統計学の面白さや重要性を一般の人々に広める役割も果たしました。

美添氏の研究は、統計学の分野だけでなく、経済学や情報科学の分野にも大きな影響を与えています。彼の貢献は、今後も多くの研究者や実務家にとって重要な指針となるでしょう。

美添氏のホームページでは、彼の研究内容や業績の詳細を知ることができます。また、東京大学、ハーバード大学、青山学院大学の出身者としても、これらの大学の発展にも貢献している人物と言えるでしょう。

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