美濃国諸旧記

『美濃国諸旧記』について

『美濃国諸旧記』は、現在の岐阜県南部に位置する美濃国の歴史や地理を扱った史書であり、特に国司、守護、名家、豪族に関する記録が収められています。その他にも、城郭や郡村名、さらには寺社に関する情報も含まれ、広範囲にわたる歴史的事象を網羅している点が特徴的です。これにより、美濃国の軍事的な側面や社会構造についての知識を深めることができます。

概要

作者や編纂時期は不詳ですが、『美濃国諸旧記』は寛永16年（1639年）に関連する記事が記載されているため、寛永末期または正保の成立前後に編纂されたと考えられています。特に平安時代の土岐氏、明智氏を含む土岐庶流、および美濃斎藤氏に関する詳細な事跡が記記録されています。これにより、当時の重要な人物や出来事に関する数多くの逸話を知ることができます。

一例として、斎藤道三の国盗りに関する記述が挙げられます。この記述は一代説に基づいていますが、著者の正体が明かされていないことや、一次史料と照らし合わせた場合に矛盾が見つかることが多いため、その信憑性には注意が必要です。

近代における扱い

1915年には黒川真道により『国史叢書』の一冊として翻刻・刊行されていますが、この翻刻には誤りが含まれている可能性も指摘されています。例えば、織田信秀の法名が「排岩」とされている点に関しては、実際の法号「桃巌」の崩し字を誤読した可能性が考えられています。また、原本は2014年時点で所在が不明となっており、原本を直接確認することは困難な状況です。

知名度とその影響

『美濃国諸旧記』において著名な情報の一つに、織田信長の妻として知られる斎藤道三の娘「帰蝶」という名前があります。この呼称に関しては、近年、松浦由起が「帰蝶」は「胡蝶」の崩し字である可能性を指摘しています。こうした分析は、歴史における名の由来を解明する上で貴重な視点を提供しています。

まとめ

『美濃国諸旧記』は、美濃国における歴史、文化、社会についての理解を深めるための重要な資料であり、特によく知られた人物や出来事の事跡が多く記されています。美濃国の歴史を探求する際には、その情報の信頼性と多様性を踏まえた上で、是非とも参照したい一冊です。

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