美濃路

美濃路の歴史と特徴

美濃路（みのじ）は、江戸時代において、東海道の宮宿と中山道の垂井宿を結ぶ重要な脇往還として知られています。このルートの起源は古代にさかのぼり、尾張国を経由して美濃国に向かう経路として発展してきたとされています。当時の正規の東海道は、尾張国から伊勢湾を渡るものでしたが、東国から馬を連れて奈良や京都に向かう際に、伊勢湾の渡航が困難であったため、この美濃路の利用が増加しました。

関ヶ原の戦いと美濃路

特に注目すべきは、関ヶ原の戦いにおいて、美濃路が果たした役割です。東軍の指揮官である福島正則がこの道を使って進軍し、戦後に徳川家康が凱旋したことから、美濃路は「吉例街道」と称されました。また、将軍が上洛する際にもこの道が利用され、歴史的な重要性を持っていました。朝鮮通信使や琉球王使、お茶壺道中など、多くの使者がこの道を通行しました。

美濃路の地理的な利点

江戸時代の東海道では、宮宿と桑名宿の間に七里の渡しが存在し、水難事故が多発していました。このため、東西を移動する人々にとって、美濃路は困難を避けるための便利な選択肢となりました。美濃路には、竹鼻街道（駒塚街道）などの脇往還も整備され、人々の移動をサポートしていました。

美濃路を利用した行列

美濃路では、朝鮮通信使が10回の訪問を果たし、大垣泊、墨俣または起での休憩、名古屋泊が通例でした。また、琉球王使も1714年以降、美濃路経由での通行を行い、宿泊地はまちまちでした。お茶壺道中は、往路は東海道を通り、帰路には美濃路を使う習慣が定着しました。1769年の広南従四位白象が通行した際にも、垂井や墨俣、宮などの宿で休息をとりました。

現代における美濃路

美濃路は現代の交通網にも影響を与えています。東海道本線や東海道新幹線、名神・東名高速道路は、江戸時代の道筋に沿って整備されています。特に、熱田から岐阜にかけての区間は、古美濃路を基にした交通路が形成されています。鉄道建設の際には、初めは中山道の路線計画がありましたが、美濃路の重要性からそのルートが選ばれました。また、名神高速道路や中央自動車道も美濃路の存在を反映した形となっています。

まとめ

美濃路は、その歴史的背景や交通の利便性から、江戸時代において重要な役割を果たしました。今もなお、その道筋が現代の交通網に受け継がれていることから、多くの人々にとって親しまれるルートとなっています。

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