羣青

羣青（ぐんじょう）

『羣青』は、中村珍によって描かれた漫画作品で、2007年から2009年まで講談社の『モーニング2』にて連載され、その後2010年から2012年にかけては小学館の『月刊IKKI』に移行して連載が続きました。この作品は、愛と裏切りが交錯する物語を通じて、主人公たちの複雑な感情や背景が描かれています。

物語は、レズビアンの女性二人、メガネさんとレズさんの運命的で無目的な旅を中心に展開されます。物語の背景は2007年で、作中での描写からその時代の雰囲気が伝わってきます。登場人物の本名は公開されず、著者がそれぞれのキャラクターに通称を付けることで、彼女たちの個性を際立たせています。特に、メガネさん（江崎草子）とレズさん（大高智代美）の関係は物語の核を成しており、彼女たちの過去や感情が描写されることで、深い人間ドラマが展開されます。

メガネさんは、かつて結婚生活を送っていたが、夫からの暴力に苦しみ、その結果として自分を愛するレズビアンに夫を殺すよう依頼するという過酷な選択を迫られます。彼女は高校時代に陸上部で活躍していた経験を持つ29歳の女性で、その過去も彼女の複雑な心理に影響を与えています。一方、レズさんは金髪の美しい女性で、お金持ちの家に生まれ育った設定がされていますが、自身の同性愛者としてのアイデンティティに悩む姿がリアルに描かれます。

また、彼女たちの旅の途中で出会うキャラクターたちもユニークで、彼女たちの物語を豊かにしています。例えば、レズさんの元彼女である彼女さんや、メガネさんの陸上部時代のライバルなど、多様な人物が登場します。それぞれの人物が持つ背景や個性が物語に深みを加えており、彼女たちの旅は単なる移動ではなく、自己の探求や理解の旅でもあることが際立ちます。

この漫画作品は、連載終了後も高く評価され、2021年にはNetflixによって『彼女』として映像化されました。主演には水原希子とさとうほなみが起用され、作品のテーマやキャラクターがどのように映像に反映されるのか、多くの期待が寄せられました。

『羣青』は、単なるラブストーリーに留まらず、登場人物たちが経験する痛みや喜びを通じて、より広く心の葛藤や愛の形を探求する深い作品となっています。読者は、彼女たちの旅を通じて自己について考えさせられ、愛と人間関係の難しさを感じることでしょう。

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