義兵

義兵

義兵（ぎへい）は、正義のために自ら立ち上がる兵士を指し、主に前近代の朝鮮において君主制やその権威に対抗して国家の危機に反応した士人や民衆による抵抗運動のことを示します。これは儒教の「義」の理念に強く根ざし、外敵を排除し、国家を守る思想が背景にあります。

朝鮮半島において、義兵の活動は13世紀の高麗時代にまでさかのぼりますが、最も顕著な例は、16世紀の豊臣秀吉による朝鮮出兵への抵抗や、19世紀末から20世紀初頭にかけての日本統治に対する運動です。特に後者は広く知られており、義兵戦争に関しては、主に二つの時期に分けられます：初期義兵（1895年－96年）と後期義兵（1905年－14年）です。

初期義兵

初期義兵は1895年に始まりました。日清戦争に勝利した日本が韓国に対して内政干渉を強化し、国民の憤りを引き起こしました。特に、王妃・閔妃の暗殺や断髪令の発令が引き金となり、多くの士人が武装して立ち上がりました。この年、忠清北道の儒学者である柳麟錫や京畿道の李春永らも義兵として各地で反抗運動を展開しました。義兵の動きは全国に広がりを見せましたが、1896年の初めに政変が発生し、目標としていた親日派の失脚により運動は収束していきました。最終的には、残っていたリーダーたちが満州へ逃れることとなり、初期義兵の活動は終息しました。

後期義兵

後期義兵は、1905年に第1次日韓協約が結ばれた後に勃発しました。この協約によって韓国の国家存続に対する危機感が高まり、再度義兵の動きが活発になりました。特に、1905年11月に第2次日韓協約が結ばれ韓国が保護国化されると、各地で義兵の組織ができ、その数は急速に増えました。特に忠清南道や全羅北道での反乱が著名でした。

この時期の義兵の指導者となった申乭石は平民出身で、その祥例に多くの平民が参加したため、運動の性格が変化してきました。しかし、日本軍の強大な軍事力に直面し、義兵は次々と敗北を喫しました。

後期義兵の発展

その後、1907年に日本が高宗を退位させ、韓国軍を解散させる命令を出すと、韓国軍内の士気を保つために多くの部隊が蜂起しました。儒学者の李麟栄が各地の義兵を結集し、「十三道倡義軍」という名称の下で韓国全域を目指す運動を展開しました。彼らはソウル奪還を目指して進撃しましたが、最終的には日本軍に敗北しました。

義兵闘争は多くの犠牲を伴い、1909年には数万の死者を出しましたが、一部の者は生き残り、満州などで続く独立運動へと繋がることになります。義兵としての戦いは、朝鮮半島の歴史の中で国家防衛の象徴的な役割を果たし、今日における韓国の近代史に重要な意味を持っています。

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