羽牟裕一郎

羽牟 裕一郎（はむ ゆういちろう）

羽牟 裕一郎氏は、1967年5月6日に鹿児島県加世田市（現在の南さつま市）に生まれた日本の医師、そして医学博士です。彼のキャリアは医学の道から始まりましたが、同時にバレーボールというスポーツへの深い関わりも持っています。

医学の専門家として

鹿児島大学医学部を卒業し、同大学大学院を修了した羽牟氏は、整形外科医および麻酔科医としての専門知識を深めました。その後、故郷である鹿児島県南さつま市にて「羽牟クリニック」を開業。特にペインクリニックを中心とした診療に従事し、痛みに苦しむ人々の治療にあたっています。医師として地域医療に貢献する一方で、彼はその医学的知識や経験をバレーボール界でも活かしました。日本バレーボール協会からの要請を受けて、男女日本代表チームの海外遠征にチームドクターとして帯同した経験も有しています。これは、選手たちの健康管理や怪我への対応といった、チームにとって不可欠なサポートを行う重要な役割でした。

バレーボールとの多角的な関わり

羽牟氏のバレーボールへの関わりは、医師としての側面だけにとどまりません。彼はバレーボールの審判員資格も持ち、Vリーグの公式戦では副審を務めた経験があります。このように、コートの外から、時にはコートの脇で、様々な立場でバレーボールに貢献してきた経緯があります。

協会の運営においても中心的な役割を担うようになります。2003年には、国際バレーボール連盟（FIVB）とアジアバレーボール連盟（AVC）の双方において、それぞれ医事委員会の委員長に就任しました。これは、バレーボールにおける医療や健康管理に関する国際的な議論や方針決定に関わる重要な役職です。日本国内においても、日本バレーボール協会で医事委員会委員長を務め、国内におけるバレーボールの医学・医療体制の構築・向上に尽力しました。

日本バレーボール協会会長への道のり

医事分野での貢献を経て、羽牟氏は協会の運営により深く関与するようになります。2011年には日本バレーボール協会の理事に選出され、国際事業本部本部長という重責を担いました。この役職において、彼はワールドカップをはじめとする日本国内で開催されるバレーボールの国際大会の実行責任者として、その企画・運営・実施を指揮しました。大規模な国際大会を成功させるためには、多岐にわたる調整や判断が必要であり、彼のリーダーシップが発揮されました。

そして、2013年には再び理事に再任されるとともに、中野泰三郎氏の後任として、日本バレーボール協会の会長および理事会の代表理事に選出され、その職に就きました。協会のトップとして、日本バレーボール全体のさらなる発展に向けた舵取りを任されることになったのです。

会長職からの退任

2013年からの約2年間、会長として協会を率いた羽牟氏でしたが、2015年5月18日に開催された協会理事会において、彼を会長職から解任する動議が可決されました。これにより、羽牟氏は日本バレーボール協会会長の職を退任することとなりました。

医師として地域の医療に貢献しつつ、バレーボールの審判、チームドクター、国際・国内の医事委員長、協会の国際事業責任者、そして会長として、多角的にバレーボール界の発展に関わった羽牟裕一郎氏のキャリアは、医学とスポーツという二つの分野における彼の情熱と貢献を示しています。

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